研究課題/領域番号 |
19K19822
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
谷津 智史 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10823453)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ビタミンC / 筋再生 / ビタミンC合成不全マウス / 筋損傷モデル |
研究実績の概要 |
加齢による骨格筋の衰退(サルコペニア)は健康寿命の延伸を大きく阻害する。サルコペニアは、骨格筋の定常時における萎縮と損傷時における再生の遅延によってもたらされる。そしてサルコペニアは様々な栄養と関連することが知られている。さらにこれまでに、ビタミンCの不足が老化を促進させるとともに骨格筋の萎縮をもたらすことが報告されている。これらのことから、ビタミンCと骨格筋の関連性を解明することは、サルコペニア発症機構の解明へとつながると考えられる。今年度は、サルコペニア発症機構の解明として、ビタミンC不足がもたらす筋再生への影響を解析した。また本研究では、ビタミンC合成経路の主要な酵素の一つであるグルコノラクトナーゼ(GNL)をノックアウトしたマウス、SMP30/GNL ノックアウトマウスを用いた。このマウスにビタミンCを4週間与えないことで、人為的にビタミンC不足にした。下肢骨格筋である前脛骨筋に、筋損傷誘発剤である塩化バリウムを麻酔下で注射し、14日後おける再生筋断面積を測定した。その結果、ビタミンCを与えた群に比べて、不足させた群の再生筋断面積が有意に小さかった。さらに、不足させた群に対して筋損傷後にビタミンC摂取させ、損傷6日目における再生筋断面積を測定したところ、再生筋断面積がビタミンCを与えた群と同程度であった。これらのことから損傷前ではなく、再生中におけるビタミンCの不足が筋再生の遅延をもたらすことが明らかになった。これはビタミンCが筋再生における重要な因子であることを示唆している。そして、筋損傷後におけるビタミンCの摂取が推奨できる結果でもある。これらは、ビタミンCの不足がサルコペニア発症の原因の一つになることを示唆している。今後は、ビタミンCの不足による筋再生遅延機構を解明することで、サルコペニア発症機構を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビタミンCの不足によって筋再生能が低下することが明らかになった。現在その機構の解明を、細胞レベルで行っている。
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今後の研究の推進方策 |
概ね計画通りに進行しているため、マウス筋芽細胞株C2C12細胞やマウス初代培養筋芽細胞を用いて、詳細な機構を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画当初より、物品費の使用を抑制することが出来た。これは消耗品の使用抑制によるものと考えられる。次年度は遺伝子発現の網羅的を解析を予定しているため、そちらの予算に計上する。
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