研究課題/領域番号 |
19K19826
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
会津 直樹 藤田医科大学, 保健衛生学部, 助教 (80780775)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 義足 / 注意 / リハビリテーション / 身体化 / 身体特異性注意 |
研究実績の概要 |
下肢切断者は、失った身体の代償として用いる義足をどのように使いこなしていくのか。ヒトの運動制御では、潜在的に自己身体に注意を向け、多くの情報を得ることで正確な運動を実行していることが考えられている。そこで、我々は、視覚刺激検出課題を用いて、義足に対する注意を測定し、義足使用の熟達程度によって義足に対する注意がどのように変化しているのか明らかにすることを目的としている。 当該年度では、「第50回 日本臨床神経生理学会学術大会」にて、シンポジストとして研究内容を報告した。一側の下肢を切断した下肢切断が義足を用いて歩行を獲得していくと、自己身体と同様に義足にも潜在的に注意が向けられるようになった。義足に対して注意を向けることで、運動に役立つ情報を脳が得ようとする適応的な義足の運動制御メカニズムが明らかとなったことを報告した。さらに、「第25回 日本基礎理学療法学会学術大会」にて健常者の足部の身体特異性注意の特性について報告した。足部の身体特異性注意と足部の触覚機能に関係を認め、特に、左足よりも右足に身体特異性注意が偏っている群では、右足の触覚の弁別が優れている結果を得た。 健常者において、足の身体特異性注意と手の身体特異性注意を比較するために、健常者を対象とした手の身体特異性注意の測定を行なった。健常者の左右手に対する注意を視覚刺激検出課題を用いて測定した(30名)。結果は現在解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下肢切断者が義足歩行を獲得していく過程において義足に対する注意と歩行能力の測定を行なった。それらの結果を、2020年度では「第50回 日本臨床神経生理学会学術大会」にてシンポジウム口演を行った。一側の下肢を切断した下肢切断が義足を用いて歩行を獲得していくと、自己身体と同様に義足にも潜在的に注意が向けられるようになった。義足に対して注意を向けることで、運動に役立つ情報を脳が得ようとする適応的な義足の運動制御メカニズムが明らかとなったことを報告した。 さらに、健常者の足の身体特異性注意の特性について「第25回 日本基礎理学療法学会学術大会」にて報告した。若年健常者において、足部の身体特異性注意の存在を確認し、さらに、足部の触覚機能と関係していることを明らかとした。 測定においては、健常高齢者を対象に左右の足部に対する注意を測定する環境を整備し、対象者をリクルートしている(倫理審査承認済)。
|
今後の研究の推進方策 |
測定では、切断者と年齢がマッチした健常者を測定する予定である。さらに、競技者(アスリート)の測定を実施していく予定である。 さらに、健常者において足の身体特異性注意と手の身体特異性注意を比較するために、健常者を対象とした手の身体特異性注意の測定を行なった。結果は現在解析中である。解析を実施し、身体部位(足または手)によって身体特異性注意が異なるのかどうか明らかにしていく。 現在までに得られているデータをまとめ、学会報告や論文投稿を行なっていく。現在までに得られた研究成果について、開催される学会にて報告していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
論文の掲載料として費用を準備していたが、論文受理まで到達していない。そのため次年度使用額が生じた。
|