研究課題/領域番号 |
19K19827
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
仁藤 充洋 山形大学, 医学部, 助教 (70732692)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脊髄反射 / 粗大把握 |
研究実績の概要 |
本研究は、巧緻動作における手根と手指運動の関連に着目し、健常者および脳血管障害などによる運動麻痺をもつ患者を対象に手根の運動能力と様々な手指機能検査との関連を調べること、またその基盤となる神経機構について健常者を対象に調べることである。 2020年度は、健常者を対象に橈側手根伸筋(ECR)の低閾値求心性神経から指の運動に関わる筋群への神経投射について、運動単位や運動ニューロン群に対する効果を調べた。その結果、ECRの筋紡錘由来の求心性神経から第一背側骨間筋、小指球、母指球の運動ニューロンに対して促通性神経投射(促通)の存在が明らかとなった。これらの多くは単シナプス性に結合しているが、一部介在ニューロンを介した寡シナプス性の結合をもつ促通も観察された。また、2019年度から調べている、粗大把握運動に関わる浅指屈筋運動ニューロンへの促通に比べて、今年度調べた手内筋の運動ニューロンでは促通のみられる割合が小さいことが分かった。以上、手根と手指運動に関わる筋の間に反射回路が存在し、これらの神経回路が円滑な手指運動に関わっていることを示唆する所見である。 また、この反射の求心性神経の鑑別のために振動刺激を用いて、各手指筋の運動ニューロン群に対して誘発された促通への影響を調べた。その結果、誘発された促通は、振動刺激後に消失し、20分以降に再び誘発されるようになった。このことから、今回調べた促通の求心性神経として、筋紡錘由来のIa線維が関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脊髄神経機構に関する研究は順調に進展している。しかし、疾患例を対象とした研究については、新型コロナウィルス感染拡大の影響で研究が実施できていないために遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
疾患例を対象とした研究では、協力施設の許可が得られ次第、研究を再開する予定である。脊髄神経機構の検索については、被験者数、運動単位の検索数を増やして、結果をまとめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、研究成果発表で使用予定であった旅費を使用しなかったために残額が生じた。また購入物品の納品が遅れたものもあり、次年度の予算として支払予定である。
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