研究実績の概要 |
肥大型心筋症は、運動によって左室内閉塞が惹起される患者が全閉塞性肥大型心筋症の中で3割に及ぶと報告されている。運動によって惹起される閉塞は本来運動によって上昇する心拍出量を低下させ、めまいや失神、突然死などの症状の原因になりうる。本研究によって、非侵襲的心拍出量計を用いて肥大型心筋症患者の運動中の心拍出量(cardiac output, cardiac index, stroke volume)を測定した。その結果、非閉塞性肥大型心筋症患者では、閉塞性肥大型心筋症と比較して、閉塞が起こるまえの早期にstroke volumeが上昇しないことが判明した。運動誘発性の肥大型心筋症を検証する機会は多くの病院で少ない。運動負荷を安全にかけられるかどうか、未だに意見がわかれているところであり、ガイドラインでも競技スポーツは禁止となっている。本研究によって、運動誘発性の閉塞性肥大型心筋症患者は、運動中に非侵襲的心拍出量計を用いて安全に運動負荷をかけられる可能性がある。つまり、通常の心臓リハビリテーションを、簡単なモニターで行い、一回心拍出量が低下する段階で、症候性となる前に運動を中止することが可能となる。また2022年6月の心リハ学会では、本研究に使用した非心拍出量計のデモを展示し、各施設への使用方法などの紹介も行う。
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