研究課題/領域番号 |
19K19831
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
筆保 健一 広島大学, 病院(医), 契約理学療法士 (40741301)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 慢性肝疾患 / サルコペニア / 歩行速度 / 肝線維化 |
研究実績の概要 |
下記内容について論文執筆を進め、現在査読対応中である。 高齢者を対象としたNAFLDを含む慢性肝疾患患者117名 (男性、n=70、女性、n=47) においてサルコペニアをはじめとした運動機能について横断的に調査を行った。肝線維化の程度をFIB4 indexを用いて分類した。Fib-4 index 2.67以上の線維化進展群、2.0未満の肝線維化非進展群、その間の3群に分類し、肝線維化進展群と肝線維化非進展群におけるサルコペニアをはじめとした運動機能を比較した。 その結果、Fib-4 indexで分類した3群間において歩行速度 (<1.0m/sec) が低下した患者の割合に有意差を認めた(P = 0.029)。また歩行速度低下の要因をロジスティック回帰分析にて検討したところ、FIB4 index (オッズ比[OR]=1.32、95%信頼区間[CI]=1.13-1.55) および下肢筋力 (OR=0.92、95%CI=0.88-0.97) が抽出された。 慢性肝疾患を有する高齢者では、病態の進展に伴い運動機能、とりわけ歩行速度が低下した患者が増える。歩行速度の低下は下肢筋力のみならず肝線維化と関連していることが明らかとなった。高齢の慢性肝疾患患者の運動機能、特に歩行速度に注目する必要がある。 今回の調査で対象となった慢性肝疾患患者の集団において肝線維化の進展が必ずしもサルコペニアの有病率を増加させるとは限らないが、歩行速度が低下する可能性が示唆された。今後は肝線維化進展にサルコペニアおよび歩行速度が関連するか調査を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在執筆中の論文に時間を要している状況。また、新型コロナウイルス感染患者に対する対応に迫られており、介入研究が行えていない現状である。
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今後の研究の推進方策 |
まずは現在執筆中の研究内容を論文化し、アクセプトまで持っていく。さらに並行して予定している介入研究の倫理申請並びに介入を行なっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在執筆中の論文投稿が遅れてしまったこと、また新型コロナウイルス感染症患者への対応を迫られたことによる研究の遅れが生じたため。介入研究を行うための試料購入や周辺機器の購入に使用する。
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