研究実績の概要 |
申請者はDCDを有する子どもの脳機能に関するの文献レビューを行い、DCD児が定型発達児と比べて左前頭葉や頭頂葉、大脳基底核および小脳の活性が低下していることを確認した(Irie K,Front. Hum. Neurosci,2021)。これらは協調運動に関係する一連の脳機能の問題として捉えられ、臨床現場ではその多彩な症状に悩まされることが多い。そこで、我々はMovement Assessment battery for children second editionを用いて協調運動を定量化し、クラスター分析を行うことで協調運動の問題をサブタイプ分類した(Mukaiyama K, Irie K, et al, submitted)。さらに、多くの先行研究で学童期のDCD児において運動イメージ能力の低下が確認されている。幼児期にも運動イメージ能力は発達することが確認されているが、国際的なアセスメントツールが確立されておらず、早期介入には至っていない。我々は国内で開発されたN式運動イメージ能力評価法を用いて幼児期の運動イメージ能力を定量化し、協調運動との関係性を明らかにした。この評価は、該当する運動を表す絵カードを選択する評価法が用いられている。しかしながら、幼児は言語発達の個人差が大きく、運動イメージ能力の評価は言語能力に依存する可能性が考えられる。申請者は幼児期に使用されることの多い擬音語・擬態語(オノマトペ)が運動イメージを介して身体運動を促進することを確認しており(図1; Irie K,Front. Psychol,2021)、幼児に対する既存のMI能力評価法の検証と新たな評価法の開発を行ってきた。
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