研究課題/領域番号 |
19K19835
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
山本 哲 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (00735334)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 非侵襲的脳刺激 / 機能的核磁気共鳴画像法 / 経頭蓋直流電気刺激法 |
研究実績の概要 |
近年、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を用いて、非侵襲的に脳の一部分を賦活または抑制することにより、運動麻痺の回復が促進されると報告されている。しかしその刺激パラメーターは確立されておらず、より効率の良いプロトコルの作成が必要となっている。本研究は、rTMSによる脳賦活変化を定量的に解析・評価する手法を確立することにより、効率の良いrTMSプロトコルの作成を目指す。 令和3年度までに,臨床で最も用いられている磁場強度1.5T-MRI装置を用いて運動関連領野の脳賦活変化を検出するために,健常者8名における安静時機能的MRIのデータ測定を終了した(N=8).また,本データの比較対象として,3T-MRI装置を用いて,安静時機能的MRIのデータ測定を終了した(N=10).撮影条件の検討で得られたデータの一部は、国際集会にてポスター発表を行い報告した。 また,新型コロナウイルス感染症の流行により実験施行の停止と再開の繰り返しの状況が余儀なくされたことから,新たに上肢到達運動に関わる領域を、非侵襲的脳刺激法の一つであるtDCSを用いて刺激することにより,その領域の活動の特徴について検証する実験を計画した.健常者を対象とし,tDCS刺激群と,tDCS偽刺激群に分けてランダム化比較試験を行い,到達運動の学習曲線を観察した.昨年度目標とした40名の参加者の測定が完了した.得られた結果は国際誌に投稿し,現在査読中である. 令和4年度も引き続き、運動麻痺を回復する新たな非侵襲的脳刺激法のプロトコルを提案することを目的として研究を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年3月より、安静時機能的MRIの撮影条件の検討のための複数名のデータ計測を、茨城県立医療大学および産業技術総合研究所のそれぞれ磁場強度の異なるMRI装置を用いて行った。新型コロナウイルス感染症の流行により実験施行の停止と再開の繰り返しの状況が余儀なくされており、データ測定が遅延している.引き続き,運動麻痺を回復する新たなrTMSプロトコルを提案することを目的として実験を進める。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画として、脳卒中片麻痺の効果的な治療法の開発へと展開するための基盤研究とすることを目的に、①学習に必要な脳領域を脳機能イメージング法を用いて同定し、学習機能低下モデルを確立すること、②学習機能低下モデルが再学習する際に活動する脳領域を同定すること、③再学習時に活動する領域を抑制している対側の部位を抑制し、再学習が促進されるのかを検討することを目的としていた。しかし新型コロナウイルス感染症の流行により実験施行の停止が余儀なくされており、データ測定が予定通りに進行していない。 そのため以下の通りに計画を一部変更する。本研究は、脳卒中片麻痺の効果的な治療法の開発へと展開するための基盤研究とすることを目的に、①ヒト上肢到達運動に関わる脳領域が適切に描出される安静時機能的MRIの撮影条件を検討すること、②上肢到達運動に関わる領域を、非侵襲的脳刺激法の一つであるtDCSを用いて促進した際の運動学習曲線の変化を観察することにより,運動学習に関わる因子を明らかにすること、③これまでの検討を基に、上肢到達運動を改善するための適切な非侵襲的脳刺激法のパラメータを設定することを目的とする. 上記に加えて、脳卒中患者において、運動課題により賦活した領域を機能的MRIを用いて同定し、その領域に対しrTMSを用いて抑制することによる運動機能の変化についても検討を進めてゆく。本課題により、患者の個別性に応じた運動学習メカニズムの解明と促進に関する知見が得られると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により実験施行の停止が余儀なくされた。そのため、データ測定が予定通りに進行していないため、実験計画の一部変更が生じた。それに伴い、備品および消耗品の再検討を行っている。実験の進行状況により、早期に購入を進め、データ計測を行いたい。
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