研究課題/領域番号 |
19K19840
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
上野 明日香 (栗原) 獨協医科大学, 医学部, 助教 (50725546)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生活習慣 / 減塩 / 運動 / 座位時間 |
研究実績の概要 |
糖尿病患者における座位行動は、身体活動量とは独立して様々な有害事象を引き起こすことが明らかにされ、米国糖尿病学会ガイドライン2016年 では、「身体活動」の項目に“運動習慣とは別に”座位時間を90分/日減らすべきと追記されたが、糖尿病性腎症において座位時間の延長がどのような影響を引き起こすか明らかにされていない。本研究の目的は、糖尿病性腎症患者における座位時間の延長が、全死亡と新規イベント発症リスクに及ぼす影響を明らかにすることである。我々は、単施設前向きコホート研究を行い、国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire:IPAQ )に回答した173例の糖尿病性腎症患者(男性101人、平均年齢71±11歳)を39か月間にわたり追跡した。新規イベントの定義は、全死亡、入院を必要とする脳卒中または心大血管疾患の発症、血液透析の導入としている。データ解析は、座位時間や生化学データを含めた変数を用い、多変量コックス比例ハザード回帰モデルを使用して分析している。 その結果として、観察期間中に脳卒中4例、心大血管疾患 20例、血液透析導入4例、死亡6例を含めた34例の新規イベントが発生しており、新規イベント発症に対するハザード比の算出により、座位時間が重要な独立変数であることを明らかにしている(60分/日; ハザード比:1.23、95 %信頼区間:1.05-1.45、P値 = 0.012)。この結果から、座位時間の延長は、糖尿病性腎症患者の新たな脳卒中または心大血管疾患の発症、血液透析導入、全死亡リスクを含めたイベント発生リスクを増加させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記実績の結果をCirc J 2020; 84: 2190-2197に公表した。減塩強化療法の効果については、別論文を執筆予定である。
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今後の研究の推進方策 |
IPAQに加え客観的座位行動の定量評価としてアクチグラフ社の活動量計を用いて検討する。 減塩強化療法の効果については、別論文を執筆予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦での患者来院数の減少のため、思うように研究を進められなかったため。 今年度は活動量計(アクチグラフ社GT3XPBT(@5万×10)台)を購入して、患者登録を進める。塩分摂取セルフコントロールのためのナトカリ比測定装置の消耗品を追加購入する。
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