研究課題/領域番号 |
19K19841
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研究機関 | 岐阜保健大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓介 岐阜保健大学, リハビリテーション学部, 助教 (50783750)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 音刺激 / 歩行速度 / 最大足底圧 / 歩行動揺性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は糖尿病性末梢神経障害合併2型糖尿病(DPN)患者の歩行中の足圧を軽減させる運動指導を開発することである。 令和3年度はDPN患者12名(音刺激群6名、Control群6名)の介入測定を実施した。介入期間は1週間とし、両群に対し理学療法士が標準的な運動指導を行った。また音刺激群には電子メトロノームを用いて自己快適速度のテンポから-10%にした音刺激の歩行を実施した。歩行運動は両群ともに毎日毎食後20分間実施した。歩行評価は介入前後に自己快適速度による10m歩行テストを実施し、歩行速度、歩行動揺性、最大足底圧の測定を行った。 音刺激群の介入前後の変化量は、歩行速度-0.03±0.07m/sec、歩行動揺性-1.10±0.43.m/sec2、最大足底圧拇趾-3.40±4.83N/cm2、拇趾球-3.39±5.54N/cm2、踵部-5.39±11.65 N/cm2であった。Control群では歩行速度0.14±0.04m/sec、歩行動揺性2.01±1.14.m/sec2、最大足底圧拇趾-1.81±9.63N/cm2、拇趾球8.64±7.88N/cm2、踵部7.19±15.58 N/cm2であった。 現状の結果より、音刺激群は歩行速度の変化はほとんど認められず、歩行の動揺性と最大足底圧が減少する傾向が見られた。最大足底圧は歩行速度の影響を受けることが報告されており、音刺激群では刺激のテンポを下げたことで歩行速度を抑えつつも歩行動揺性や最大足底圧の減少が見られたと考えられる。一方Control群は歩行速度が上昇する傾向が見られており、歩行速度の上昇が最大足底圧の増加に影響を与えた可能性が考えられる。 DPN患者の歩行動揺性と最大足底圧には低速音刺激を用いた運動療法が有用である可能性が考えられる。今後対象者数を増やし、統計学的に妥当であるか検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度は研究協力施設にて1年を通して介入ならびに評価を実施していく予定であった。しかしCOVID-19の影響により、度々糖尿病患者の教育入院に制限が生じ、対象者をリクルートできる時期とできない時期が混在していた。令和4年度もCOVID-19の状況に応じて介入を検討していくことになることが予測される。しかし現在までに12名の測定が終了しており、データのバラツキはあるものの、仮説に近い結果が出ていることから介入方法を変更せず、このまま継続したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度はDPN患者12名(音刺激群6名、Control群6名)に対して介入を行い、仮説に類似する結果が得られている。対象者のリクルートについては今後もCOVID-19の影響を受けることが予測されるが、このまま継続していく予定である。 令和4年度は4月から介入を再開しており、2022年12月までに60名の測定を目標としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力施設との打ち合わせをビデオ会議ツールを用いて行ったことや、研究成果を発表する学術大会がオンラインによる開催になったことで旅費を使用することがなかったことが大きな要因と考える。また対象者のリクルートが可能な時期とそうでない時期が混在し、追加購入予定であった身体活動量計や電子メトロノームが不要であったことが要因である。令和4年度では介入機器である電子メトロノームや活動量計の補充、測定データ電子化のためのスキャナー、対象者へのフィードバック資料印刷に必要なプリンターやインク、研究成果公表のための旅費や論文投稿料ならびに校正費、その他消耗品の補充などに使用していく予定である。
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