研究課題/領域番号 |
19K19842
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
伊藤 晃洋 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (50807419)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心臓外科術後 / 脊柱彎曲角度 / 脊柱可動域 / 周術期 |
研究実績の概要 |
2019年度は,心臓外科手術前後での脊柱彎曲角度変化についての要因検討を行った.本検討の意義として,手術後の脊柱彎曲角度変化の要因を明らかにすることで医療的に介入すべき点を明らかにすることができると考えられた. 対象を同意が得られた心臓外科患者として48名で実施した.事前調査として手術前後での脊柱彎曲角度変化について調べ,過去に我々が調査した結果と同様の胸椎彎曲角度を中心とした術後低下があることを確認した. 周術期に脊柱彎曲角度に影響を与えると考えられる要因を術前要因,術中要因,術後要因に分けて挙げた.分析を共分散分析のパス解析を使用した.分析の結果,術後の脊柱彎曲角度に直接的に影響を与えているのは,術後3日目のCRPで,間接的に関与するものは胸骨離開時間,離床開始日,術後 2 日目の離床進行段階であった.また,離床 順調例ほど術後 3 日目の CRP は低値であった. 本研究結果から,術後CRP値をいかにコントロールするかが重要であることがわかった. CRPは術後炎症を反映するバイオマーカーとして広く使用されており,炎症の症状である浮腫が創部周囲や胸郭部周囲に出現することで胸椎弯曲角度を制限している可能性が考えられた.また,術後の離床がCRPの上昇を抑制させる効果がある可能性についても示された.先行研究では,術後はリハビリ時間における離床が活動量の増加につながること,活動量の増加が抗炎症成分サイトカインの産生を促すことが報告されており,いかにリハビリで早期の離床を行うことができるかが重要である可能性も示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ここまでの検討内容としては手術前後の入院期間における調査が中心であり,脱落例が少なかった. しかし,購入予定していた物品(スパイナルマウス)がバージョンアップに伴い価格が上昇したため,購入が難しくなってしまった.スパイナルマウスは本研究の主アウトカムである脊柱項目を測定するものであり,大学からの貸し出し物品を使用することとしたが他との使用の兼ね合いもあり,使用できないこともあり,データの欠損が出てしまう症例がある. さらに現在,新型コロナウイルスの影響により,研究者が協力施設である各病院に立ち入りができない状況となっている.また,協力施設のスタッフも新型コロナウイルスの対応に追われている点,外来患者が制限されるため点があり,退院後の調査が進みにくい状況ととなっている.
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今後の研究の推進方策 |
今後については新型コロナウイルスの影響がどの程度続くかにより対応をどのようにするか複数の検討が必要となっている.当初の予定通り進めるためには大幅な遅れを想定しなければならない可能性もあるため,症例数が減ってしまった場合に備え統計方法の修正や対象患者の再検討が必要であると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の関係上スパイナルマウスの購入が難しくなってしまった. また,コロナウイルスの影響で対象者数の減少を最小限に留めたいため,心臓外科患者の状態変化を把握し,対象者数の減少を図るため,循環器指標(心臓機能)を評価するデバイスを検討している.
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