研究実績の概要 |
本研究では、転倒のリスクが高い脳卒中者に対して、狭い隙間を通過するという障害物回避動作練習を継続的に介入することで、障害物回避能力や歩行・バランス能力を向上させ、さらには6か月後の転倒発生率を軽減させるかどうかを検討することを目的としている。本研究では2つの課題(対象)を設定しており、1つ目は、高次脳機能障害がなく、片麻痺を呈した脳卒中者に対するランダム化比較試験(RCT)であり(課題1:片麻痺研究)、2つ目は、高次脳機能障害として、半側空間無視(Unilateral spatial neglect; USN)症状を呈した脳卒中者に対する観察研究(課題2:USN研究)である。 これまでの研究成果として、課題1の片麻痺研究では、30症例(共同研究先で8症例)の介入研究を実施し(介入群15例、コントロール群15例)、目標の38症例まではあと半年程度で到達すると考えられる。課題2のUSN研究では、2症例の介入を実施したが、今後も多くの症例数は見込めないため、シングルケーススタディとして積み重ねていく予定である。引き続き、これら2つの研究により、転倒を起こしやすい脳卒中者全般に対する隙間通過トレーニングの効果を明らかにしていく。 脳卒中者に対する障害物回避トレーニングの効果や介入方法について詳細に調べるためにシステマティックレビューを実施し、論文化した。Muroi D, Ohtera S, Kataoka Y, Banno M, Tsujimoto Y, Tsujimoto T, Higuchi T. Obstacle avoidance training for individuals with stroke: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open, 2019
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