研究課題
本研究では、転倒のリスクが高い脳卒中片麻痺者に対して、麻痺側から狭い隙間を通過するという障害物回避動作練習を継続的(3週間)に介入することで、障害物回避能力や歩行・バランス能力を向上させ、さらには6か月後の転倒発生率を軽減させるかどうかを検討することを目的にランダム化比較試験を実施した。障害物回避能力と6か月後の転倒発生をプライマリーアウトカム、10歩行、TUG、BBS、ABCなどの一般的な歩行・バランス評価をセカンダリーアウトカムとした。38名の参加者をランダムに割り付け、20名の介入群、18名のコントロール群で比較検討した。その結果、介入群において、隙間通過の障害物回避課題での接触率低下、通過速度の向上を認めた。一方、一般的な歩行・バランス評価、転倒発生に関しては有意差を認めなかった。これらの結果から障害物回避に関する課題特異的な運動学習がされた可能性が高く、自宅退院後にも想定される狭い隙間の通過練習は入院中に繰り返し実施しておくことが望ましいと考えられた。さらに、半側空間無視者に対して、麻痺(無視)側から狭い隙間を通過するという障害物回避動作練習を継続的(3週間)に介入することの効果について検討した。1症例に対して、シングルケーススタディABAデザインにて検討した。主なアウトカムは、障害物回避能力、歩行・バランス能力、知覚判断能力、ADL上の無視の程度の評価(CBS)であった。その結果、介入後に障害物との接触率が低下し、6分間歩行テストやバランステストで改善を認めた。一方で、歩行速度やCBSには変化がなかった。これらの結果から、障害物回避動作能力やターンを伴う歩行・バランス能力の改善は、無視症状とは独立して起こる可能性があることが示唆された。
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