研究課題
リンパ液が皮膚浅層に向かって逆流することを示す画像所見「dermal backflow」を構成する微細なリンパ管の構造を3次元的に評価するために、リンパ浮腫患者を対象に蛍光リンパ造影と光超音波イメージングの撮影を行った。蛍光リンパ造影でdermal backflowが広がっていく様子を確認してから、光超音波イメージングの画像を確認したところ、光超音波画像でdermal backflowと集合リンパ管が連絡している部位は、蛍光リンパ造影で早期にdermal backflowが出現した部位に一致していた。この集合リンパ管は、dermal backflowよりも頭側に向かう途中で、dermal backflowに向かう表在方向の枝を出す場合が多かったが、中には集合リンパ管の本管がdermal backflowに向かって折れ曲がり、頭側に向かう集合リンパ管は描出されていない場合もあった。また撮影部位によっては、明らかな集合リンパ管を認めず、ただ浅層のdermal backflowを認めるのみの場合もあった。なお、蛍光リンパ造影で早期にパッチ状に広がっていくdermal backflowの領域は、光超音波画像では3次元的なネットワーク状のリンパ管の構造として観察された。このネットワークの形態(網目の形態や大きさ)やリンパ管の径には個人差が大きく、浮腫の程度や罹病期間などとの関連性を見出すことは困難であった。
2: おおむね順調に進展している
おおむね計画通りに研究を実施しており、dermal backflowの3次元的かつ動的な特性の理解に進展がある。
新型コロナウイルスの感染が広がっており、臨床研究の症例を増やすことは難しい状況であるが、既存のデータの詳細な解析を進める。特にヘッド・マウンテッド・ディスプレーを利用してdermal backflowの3次元的なネットワークを「内側から」観察する手法についての検討を行う。
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Journal of Surgical Oncology
巻: 121 ページ: 48 - 50
10.1002/jso.25575