研究課題/領域番号 |
19K19859
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
武田 賢太 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 流動研究員 (50824827)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 立位姿勢調節 / 神経変性疾患 / 感覚フィードバック |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,1. 身体動揺のフィードバック量を増減させることで立位環境を外的に変化させた際の姿勢安定性及び姿勢制御の与える影響を明らかにすることと2. 立位姿勢障害を呈する患者に対して各個人の障害特性に応じた立位バランスの介入方法を考案することであった.本年度は健常者と神経変性疾患患者を対象に,フィードバック量の増減が姿勢安定性と立位姿勢制御に与える影響を検証した.具体的には,本年度内に以下の内容を実施した. (1) 健常成人15名を対象として重心動揺リアルタイムフィードバック装置上で静止立位をとる課題を実施した.この装置は,搭載している床反力計にて重心の変位を惹起し,動揺方向と同じまたは反対方向に床面を変位させることで,重心動揺のフィードバック量を減少または増加させることを可能にする.検証の結果,フィードバック量の増減に伴って,重心動揺速度および姿勢保持筋(下腿三頭筋)の重心動揺に対する応答性(重心動揺に対する下腿三頭筋の活動の遅延)が変化した. (2) 健常成人10名を対象としてフィードバック装置上で前後方向の荷重移動を行った際の脳波計測を実施し,フィードバックの増減が皮質活動に与える影響を検証した.解析は現在進行中である. (3) 脊髄小脳変性症患者を対象に上記のフィードバック装置を用いて床面が身体動揺に追従する(身体動揺のフィードバックが減少する)環境下で静止立位を計測した.フィードバック量を変化させない通常の静止立位時と比較して,患者の頭部および重心動揺が減少し,重心動揺に対する下腿三頭筋の筋活動の遅延が減少した.また,同一症例を1年以上に渡り長期フォローし,疾患の進行に伴って姿勢不安定性が増加した場合でも上記の効果は認められることを確認した.この結果の一部を第17回日本神経系理学療法学会学術大会にて報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた実験計測は概ね遂行されたため.
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今後の研究の推進方策 |
神経変性疾患患者の計測を引き続き実施し,異なる姿勢調節障害特性を有する患者に対してフィードバック量の変化がどのような影響を与えるかを検証する.また,立位時の動作解析に留まらず,神経生理学的検査や脳画像計測を実施し,各患者の姿勢調節障害特性を多角的に捉えることを試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・謝金および消耗品の一部を所属機関の研究費で支払うことができたため,一部の使用金額に変更が生じた.残額は追加で必要となった解析用ノートパソコンの費用の補填に使用する予定である.
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