研究課題/領域番号 |
19K19864
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
照井 佳乃 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (30806344)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳卒中 / 歩行 / 左右非対称性 / 加速度計 / 荷重計 |
研究実績の概要 |
本研究では回復期病棟入院中の脳卒中片麻痺患者を対象として、歩行時の体幹の動きにおける左右非対称性や下肢ステップの時間因子における左右非対称性と関連する身体機能の検討を行っている。歩行時の体幹の動きにおける左右非対称性は加速度から算出したLissajous Index(以下、LI)を使用し、下肢ステップの時間因子における左右非対称性にはSymmetry Index(以下、SI)を使用した。 LIやSIは数値が小さいほど左右対称であることを示す指標である。LIやSIは回復期病棟入棟時から退院時に向かって小さくなり、入院中に歩行が左右対称となる傾向がみられている。また、身体機能評価として、運動麻痺の程度、下肢筋力、痙性の程度、バランス能力、呼吸機能を測定した。脳卒中片麻痺患者では上下肢の機能だけではなく、呼吸機能が低下するといわれていることから、LIおよびSIと呼吸機能との関連を検討した。LIと肺活量、SIと呼吸筋力の間に有意な相関関係が認められ、呼吸筋力が低下している患者ほど左右非対称性が大きくなることが明らかとなった。 また、呼吸筋力は体幹の筋力を反映していることから、脳卒中患者における体幹筋の筋厚を超音波画像診断装置で測定している。腹横筋、内外腹斜筋、多裂筋の測定を行い、測定した体幹筋の筋厚と歩行パラメータとの関連を検討している。歩行パラメータの測定は加速度計を使用して実施し、歩行時のRoot Mean SquareやLIを指標とする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、脳卒中片麻痺患者50名に対して、初回測定および退院までの1か月ごとの測定を完了した。また、本研究の中で明らかになったLIおよびSIと呼吸機能との関連について、学会発表や論文により公表した。
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今後の研究の推進方策 |
データ収集がほぼ完了したため、データ解析を進める予定ある。歩行時の体幹の動きの左右非対称性の評価であるLI、および、下肢ステップの時間因子における左右非対称性の評価であるSIの経時的変化を解析する。また、LI・SIの変化に関連する下肢・体幹機能の解析を実施する。解析から得られた結果を学会発表および論文で公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大により学会発表がオンラインとなり旅費が掛からなかったことや機器の故障が少なく修理費用が掛からなかったことから、次年度使用額が生じた。 研究成果を発表するために学会参加費や英語論文校正費用、投稿料に使用する予定。
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