本研究では、回復期病棟入院中の初発脳卒中片麻痺患者を対象に、3軸加速度計を用いて算出する歩行時の体幹の動きの左右非対称性、および、身体機能を測定し、左右非対称性の改善群と非改善群に分けて、どのような身体機能が左右非対称性の改善に寄与するのか前方視的研究で検討した。 令和4年度は令和3年度に引き続きデータ測定を実施し、3軸加速度計により歩行時の体幹の動きの左右非対称性、麻痺の程度、下肢筋力、体幹筋力(下部体幹の筋力は呼気筋力、上部体幹の筋力は吸気筋力を使用)、バランス能力、下肢の筋緊張を測定した。体幹の動きの左右非対称性にはLissajoud Indexという指標を用いた。Lissajous Indexは歩行中の上下と左右の加速度から算出し、数値が小さいほど左右対称であることを示すものである。測定時期は10mの歩行が見守りで可能となった時点を初回として、初回から1か月後、2か月後の計3回とした。 令和3年度までの測定と合わせて52名のデータについて解析を行った。52名全体の結果としては、2カ月で体幹の左右非対称性は有意に改善していたものの、左右非対称性が改善した者(改善群)が26名、改善しなかった者(非改善群)が26名であった。改善群と非改善群の間で体幹筋力(吸気筋力)の変化量に有意差が認められた。本研究の結果、回復期病棟入院中の初発脳卒中片麻痺患者において、体幹筋力が向上した者ほど歩行中の体幹の動きの左右非対称性が改善することが示唆された。
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