研究課題/領域番号 |
19K19867
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 信彦 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員(常勤) (20833924)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / 神経障害性疼痛 / 電気生理学的評価 / 慢性疼痛メカニズム / 身体活動 |
研究実績の概要 |
慢性疼痛の機序は、脳内ネットワークの変調が推定されているが、中枢神経系内の運動と疼痛認知に関わる領域間の関連性の理解は不十分である。また、慢性疼痛の評価は、疼痛強度や社会心理面だけでなく、日常生活動作(activities of daily living; ADL)などの身体活動を含む多面的評価が必要だが、身体活動の評価に関わる知見は十分ではなく、その定量的な評価法も確立されていない。本研究では、慢性疼痛患者を対象として、身体活動量を計測、そして電気生理学的手法を用いて中枢神経系の感覚・運動皮質の活動を客観的・定量的に計測する。 電気生理学的手法を用いた研究では、ナビゲーションガイド下に経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation; TMS)を行うことで運動野をマッピングし、疼痛と運動障害、運動野の機能局在、皮質興奮性との関連性を検討した。難治性慢性疼痛を上肢に訴えている7例を対象とした。疼痛が強い症例において,運動障害は軽症であること、皮質興奮性は半球間の差が少ない傾向であることが考えられた。 疼痛尺度と活動量計を用いた多面的な評価では、脊髄刺激療法(spinal cord stimulation; SCS)トライアルを施行した神経障害性疼痛患者(6例)を対象にし、疼痛尺度・社会心理面の評価に加え、歩行速度や活動量計を用いた運動機能面の評価を多面的に行い、SCSの除痛効果と身体活動量との関連について検討している。また、ADLに関連する歩行や身体活動量など運動機能の最適な評価方法についても検討している。脳卒中後疼痛患者においては、疼痛尺度、運動障害そしてADL・QOLの多面的評価を実施しADLやQOLに関連する要因を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経障害性疼痛患者の疼痛など従来の評価に加え、運動機能の定量的測定、運動野皮質興奮性の測定を実施し、その結果を国内誌へ投稿し受理された。その後、運動野皮質興奮性の測定に加え、体性感覚誘発電位や接触熱誘発電位の計測を実施し、疼痛のメカニズムの解明そして疼痛治療における新たな評価法の確立を目指している。しかし、COVID-19の影響で実験が遅滞しているために、課題の進捗状況がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
身体活動量計の計測は、現在の機器で支障なく計測できている。COVID-19の感染状況を考慮しつつ、昨年度に実施できなかった被験者(患者)から運動野皮質興奮性、体性感覚誘発電位そして接触熱誘発電位を計測し、解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:磁気刺激コイル等は借用することができ、以前に購入していた活動量計で今年度は代用が可能であったため。 使用計画:被検者への謝金、消耗品や解析機器の購入や成果発表や旅費などに使用する。
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