研究課題/領域番号 |
19K19881
|
研究機関 | 人間総合科学大学 |
研究代表者 |
藤野 努 人間総合科学大学, 保健医療学部, 助教 (10827827)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 片脚立位 / バランス / 高齢者 / 運動制御 |
研究実績の概要 |
高齢者のバランス能力低下は片脚立位によって顕在化しやすく,その保持時間の減少は転倒・骨折リスクの増加と関連する.しかし,いかにして高齢者の保持時間が減少するかは明らかとなっておらず,現状ではバランス能力の改善には直接結びついていない.本研究では,片脚立位一試行内におけるバランスメカニズムの時系列変化と,メカニカルな要素間の関係性を明らかにすることで保持時間減少のメカニカルな機序の解明を図り,高齢者における片脚保持時間減少によって顕在化するバランス能力低下に対しての臨床応用へ繋げることを目的としている. 2019年度は主に健常成人を対象とした計測を実施し,解析を実施した.床反力計を用い片脚立位を実施し,その保持時間とウェーブレット解析によるCOP周波数との関連を解析した.結果として,保持時間が長期になると低周波領域の占有が上昇すること,保持開始直後の局所Hurst指数によって保持時間の予測が一定の精度を持って可能になることが明らかとなった.また,両脚での立位,片脚立位,タンデム肢位でのCOP動態をDFA(detrended fluctuation analysis)を実施した.従来片脚立ちは両脚立ちと比較して左右方向の支持基底面が減少するため,左右方向の制御が重要であると考えられてきたが,前後方向にのみ課題間の差異が出現した.このことから,片脚立位保持においてCOPの前後方向の制御は従来考えられているより重要である可能性を示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3次元動作解析装置の動作環境構築が整わず,全身の身体運動を含めた計測を行うことが出来なかった.また,高齢者を対象とした計測を3月に予定していたがCOVID-19 感染拡大の影響を受け計測を実施することが困難であった.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は導入予定である筋電図計を使用して筋電図学的解析も併せて進めていく予定である.また,健常高齢者の計測が可能な状況になれば計測を進めて行く予定である.3次元動作解析装置においても今年度中には計測環境の整備が終了する予定であるため,これまでの計測機器と同期させて全身運動の観点からも片脚立位保持メカニズムの解明を進めていく予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
高齢者計測が実施出来ず,謝金および計測補助者への人件費,研究備品の購入費が発生しなかったため.次年度は計測が可能になり次第高齢者に対しての計測を実施する予定である.
|