脳卒中患者の転倒の多くは歩行中に発生し,歩行能力低下は転倒のリスク因子である.脳卒中患者の転倒を予防するためには歩行評価に基づく転倒予測は重要な課題である.そこで,歩行をより詳細かつ包括的に捉えることのできる歩行指標から転倒を予測するために,歩行中の関節角度を用いた「運動学的歩行非対称性」による転倒予測を考えた.本研究成果より①脳卒中患者は健常成人に比べ,股関節,膝関節,足関節に有意な運動学的歩行非対称性を示すこと,②股関節と膝関節の運動学的歩行非対称性は歩行速度,BBS,FIMと有意な相関関係を認めること,③股関節と膝関節の運動学的歩行非対称性が転倒恐怖感と関連することを明らかにした.
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