研究課題
本研究は、瞳孔の対光反応が、心不全患者における自律神経活動の評価方法として日常臨床に応用可能か否かを明らかにすることを目的として開始した。本年度はデータの蓄積を目標としており、心臓リハビリテーションが処方されたすべての心不全症例に対して測定を行うことができ、100例とした目標症例数はすでに達成されている。これは、瞳孔の対光反応の測定が勘弁に測定でき、日常臨床に応用しやすいという重要な意義を有していると考える。今後は測定したデータの解析を行い、心拍変動解析などの他の自律神経活動評価指標や、運動耐容能、血管内皮機能、QOLなどとの関連について解析し、その臨床的意義を検証する予定である。また、これまで蓄積してきたデータを後方視的に解析し、瞳孔面積が心不全患者の予後予測に有用であることを明らかにした。瞳孔機能が低下すると考えられる高齢者や、糖尿病の有無においても一様に予後予測に有用であることに加え、自律神経活動に影響を与えるβ遮断薬服用の有無にかかわらず予後予測に有用であることも明らかとなった。この成果は、2019年9月に開催された日本心不全学会学術集会で口述発表し、Young Investigator Award 最優秀賞を受賞した。これは、心不全領域において瞳孔機能の評価を行うことに重要な価値があり、新たな自律神経活動の評価方法として対外的に評価されたものであると考える。なお、同内容は英文として論文を執筆し、現在投稿中(under review)である。
2: おおむね順調に進展している
目標症例数を達成し、解析を開始できている。また、既存のデータから後方視的に解析した内容を学術集会で発表し、英論文投稿に至っている。
瞳孔の対光反応を測定する目標症例数は達成したため、今後は他の指標(心拍変動解析や運動耐容能、血管内皮機能、QOLなど)の測定や、それらの指標との関連について解析を進める予定である。また、縦断的な追跡を開始し、予後との関連を検証する予定である。得られた結果は、順次国内外での学術集会での発表と英論文の執筆を行っていく。
採択された英論文に出版費がかからなかったため。繰越金は、次年度での英文校正費もしくは論文投稿費に充てる予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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