• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

骨格筋の繰り返し損傷による慢性化した炎症病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K19889
研究機関電気通信大学

研究代表者

高木 領  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特別研究員 (00801705)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード骨格筋 / カルシウム / 温度 / 理学療法 / 適応 / 損傷 / 機能 / 伸張性収縮
研究実績の概要

過度な運動は骨格筋の損傷を惹起し, 機能低下を招く. 単回の筋損傷であれば, 機能低下は時間とともに回復するが, 繰り返し筋損傷が生じると機能低下は進行する. 本研究では, この進行する機能低下の病態を明らかにすることで, 予防する治療介入の確立に寄与できる知見が得られることが期待される. 昨年度は, 単回の伸張性収縮による筋損傷後の機能変化を追跡した結果, 損傷1日後に対して2日後に機能がさらに低下することが明らかとなった. そのため, 当初予定していた繰り返し損傷モデルの作製に進むのではなく, 筋損傷を制御する細胞内カルシウムイオン濃度の動態を解析することを優先した. その結果, 伸張性収縮直後に観察された細胞内カルシウムイオン濃度上昇部位は, その後筋線維内を伝播するように進行し, かつ新たな細胞内カルシウムイオン濃度上昇部位が出現することが明らかとなった. そこで本年度は, 筋損傷後の介入として代表的なアイシングの効果を検証するために, 細胞内カルシウムイオン濃度上昇部位に及ぼす影響を調べた. その結果, 温度低下は筋小胞体によるカルシウムイオン濃度制御機構に影響を及ぼし, 伸張性収縮後の細胞内カルシウムイオン濃度上昇部位を拡大させることが明らかとなった. これはアイシングが筋損傷を悪化させる危険性があることを示唆するものであり, 実際に組織学的な筋線維損傷や機能低下はアイシングにより増悪した. これらより細胞内カルシウムイオン濃度のin vivoイメージングは筋損傷に対する介入効果を検証する上で有用であることが示され, 筋損傷の治療を行う上で温度管理の重要性が示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は, 骨格筋における伸張性収縮後の細胞内カルシウムイオン濃度動態に対する介入としてアイシングの影響を明らかにした. またアイシングが筋小胞体のカルシウムイオン制御機構に影響を及ぼすことを明らかにした. しかし, in vivoイメージング下で温度介入を可能とする実験系の組み立てに時間を要し, 当初予定していた計画に対して進捗がやや遅れている. また新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応として, 研究遂行の制限が生じたために進捗がやや遅れている.

今後の研究の推進方策

骨格筋において伸張性収縮後の機能低下は1日後も進行する. このことから繰り返し損傷モデルを変更し, 筋損傷直後からの細胞内カルシウムイオン濃度動態の解析を行った. そこから細胞内カルシウムイオン濃度上昇部位は時間経過とともに伝播, かつ新たに出現することが明らかとなった. 本年度はこの細胞内カルシウムイオン濃度動態に対する介入としてアイシングの効果を明らかにした. その中でアイシングが細胞内カルシウムイオン濃度に対して顕著に影響を及ぼすことが明らかとなったため, 次年度はアイシングがカルシウムシグナルを介して筋に及ぼす影響を明らかにする予定である

次年度使用額が生じた理由

今年度の研究計画がやや遅れているために当初予定していた実験計画に基づく物品の購入に至らなかったこと, また計画の変更によりその費用が大幅に削減された. 旅費やその他に予定していた成果発表にかかる費用も計画の進展の遅れから使用に至らなかった. 次年度は本来今年度予定していた計画も含めて予定通り進展させる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] In vivo Ca2+ dynamics during cooling after eccentric contractions in rat skeletal muscle2021

    • 著者名/発表者名
      Takagi Ryo、Tabuchi Ayaka、Asamura Tomoyo、Hirayama Seiya、Ikegami Ryo、Tanaka Yoshinori、Hoshino Daisuke、Poole David C.、Kano Yutaka
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology

      巻: 320 ページ: R129~R137

    • DOI

      10.1152/ajpregu.00253.2020

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 伸張性収縮後のアイシングが筋線維内カルシウムイオン濃度と骨格筋機能に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      高木領、狩野豊
    • 学会等名
      第75回日本体力医学会大会
  • [備考] 電気通信大学 基盤理工学専攻 狩野研究室ホームページ

    • URL

      http://www.ecc.es.uec.ac.jp/index.html

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi