研究実績の概要 |
昨年度の研究ではストレッチング強度に着目した検討を行い,高強度ストレッチングが筋スティフネス減少に有効であることを示した.今年度は,定期的なストレッチング介入における関節可動域や筋スティフネスの変化に関する介入前の値の影響に付いて検討することで,ストレッチングによる筋スティフネス減少メカニズムの解明の一助とすることにした. 具体的には健常男性44名の利き足側の下腿三頭筋を対象に4週間のスタティックストレッチング介入を実施した.スタティックストレッチング介入前後で足関節背屈可動域と筋スティフネスを測定した.その結果,足関節背屈可動域は有意に増加し,筋スティフネスは有意に減少した.加えて,介入前のそれぞれの値と介入前後における変化量・変化率との相関分析をした結果,足関節背屈可動域においては介入前の値と介入前後での変化率には有意な負の相関関係(r=-0.383, p=0.011),筋スティフネスに関しては,介入前の値と介入前後の変化量に有意な負の相関関係(r=-0.736, p<0.001)が認められた.以上より,スタティックストレッチング介入における関節可動域・筋ティフネスの改善効果に関してはもともとの柔軟性が影響し,特に柔軟性が低い被験者がスタティックストレッチング介入効果が大きいことが明らかとなった.
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