胸鎖関節は上肢帯の運動の起点となる関節であり、その固有感覚は上肢帯、特に肩甲骨の運動制御に重要と考えられる。しかし、胸鎖関節の固有感覚を伝達すると想定される支配神経については従来より見解が統一されておらず、どのような外傷や手術で胸鎖関節の支配神経が障害されうるかも不明であった。我々の研究により、内側鎖骨上神経の枝が鎖骨内側部に沿って走行し、胸鎖関節の前面に至ることが明らかとなった。また、外側胸筋神経のうち大胸筋鎖骨部を支配する部分から分かれた神経枝が、鎖骨下を内側に走行し、胸鎖関節に至る場合があることを見出した。一部文献に記載の見られる鎖骨下筋神経の枝による支配は観察されなかった。
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