本研究は、上肢の運動課題中のマカクサルの大脳皮質感覚野3a領域および延髄楔状束核から神経活動を記録し、筋感覚信号が運動の方向や筋活動に関係なく、随意運動中に抑制されることを明らかにした。さらに、3a領域を損傷させた個体では、握り動作など粗大な運動機能の障害が見られなかったが、つまみ動作など巧緻性が要求される課題では、運動遂行が困難となり、特に力の維持など出力調整が困難になった。本研究により筋感覚情報が手指の巧緻運動の遂行に重要であることが明らかになった。脳損傷者の巧緻運動機能障害は、運動出力の問題だけでなく、筋感覚情報処理の機能不全が関連していることが示唆された。
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