心臓リハビリテーションは、心不全患者の運動耐容能を向上させ、再入院率を抑制する治療法として、その有用性が認知されている。しかしながら、高齢で通院に関して同伴者を要する患者もおおく、頻回の通院を前提とする従来の心臓リハビリテーション(通院型心臓リハビリテーション)については、十分な参加率を達成することが困難であった。そこで、遠隔心臓リハビリテーションが注目されている。しかしながら、在宅で実施することが前提である遠隔心臓リハビリテーションでは、通院時のように血液検査やレントゲン検査、身体診察を行うことに障壁がある。 昨年までの研究成果により、同一運動強度での日々の運動療法中の心拍数や換気量の変化が、心不全増悪の有無や運動耐容の改善の有無を評価する指標になりうることを明らかにすることができた。遠隔心臓リハビリテーションにおいて、心拍数を評価することは可能であり、重要な指標と考えられた。また換気量については、ビデオ通話などで、患者の息切れ様子の観察が重要であると考えられた。 本年度は、遠隔心臓リハビリテーションを実施することができた症例のうち、4例の症例シリーズ報告を通して、遠隔心臓リハビリテーションを実施する心不全患者の疾患管理においては、運動強度・心電図・息切れの状態の評価が重要であることを報告した。本症例シリーズ報告においては、遠隔心臓リハビリテーションにより退院後の心不全患者を頻回に評価することで、タイムリーな薬剤調整も可能である可能性を示した。
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