本研究は、脊髄損傷完全対麻痺者に対し、ロボットスーツHALを使用した訓練法に関するものである。脊髄損傷完全四肢・対麻痺者の下肢を随意的に動かすために、HALを装着し、下肢駆動用電極を反対側上肢に貼付して、上肢の運動をトリガーとしてHALを駆動する『上肢駆動HAL』による歩行訓練を行った。下肢に随意的な筋活動がない症例であっても、HAL歩行時には、立脚期に周期的な下肢筋活動がみられた。また、痙縮のコントロールが困難な症例においては、訓練後に痙縮の緩和が見られた。上肢と下肢の連動した運動の有効性が示唆され、HALによる歩行訓練が、新たなリハビリテーションとなりうる可能性が示された。
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