相手の出した手をみてから条件に即した手を出す後出しじゃんけん、そして後出しじゃんけんの手を体の動きで表現する後出しボディージャンケン遂行時の脳活動について、近赤外分光法を行うことのできるポータブルの脳機能イメージング装置を用いて測定を行った。 対象者は若年健常者12名(男女ともに6名ずつ)で、後出しじゃんけん、後出しボディーじゃんけんにおいて、画面に提示されたじゃんけんの手を見ながら条件(相手に勝つ、負ける、あいこを出す)に即した手を出してもらい、課題遂行時の前頭葉Oxy-Hbについて測定・分析を行った。 その結果後出しボディーじゃんけんの負け条件では勝ち、あいこ条件と比較して有意な左前頭葉のOxy-Hbの増加を確認した。また、相手の手を見てからじゃんけんの手を出す反応完了時間の測定や各じゃんけん・条件の難易度などのアンケート調査も行ったが、反応完了時間は後出しボディーじゃんけんですべての条件で多く時間がかかり難しいとの回答で、条件もいずれのじゃんけんも負け条件が最も時間がかかり、難しいという回答であった。しかし、Oxy-Hb変化と反応完了時間や難易度においては特に関連性は確認されず、難易度が高い、反応完了時間が長くなるからと言って必ずしもOxy-Hb変化には影響していないことがわかった。 本研究に先行してマルチチャンネル測定可能なNIRSにて同様に検討も行ったが、本結果と同じような傾向の結果であったため、持ち運びが簡単にできる本装置においても問題なく前頭葉のOxy-Hb変化の測定が可能であると思われる。今後もポータブルの脳機能イメージング装置を用いて様々な場面、様々な被験者にて測定を続けていく予定である。
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