最終年度は、特別なニーズがある子どもの活動・参加評価として実際に日本版PACSを試用した結果についての解析を行った。日本版PACSに含まれる98のアクティビティ項目のうち「実施している」と回答されたアクティビティ項目の割合は平均76.5%であった。下位カテゴリーごとに見ると、実施率が高い順に「Low demand leisure」「High demand leisure」「Self care」「Social interaction」「Mobility and community activity」「Education」「Domestic」であった。児の月齢と実施アクティビティ数との間に関連は認めなかった。一方で感覚プロファイル短縮版のスコアとの関連を検討したところ、「Educationと低反応・感覚探究」「Domesticと低反応・感覚探究」「Domesticと聴覚フィルタリング」との間に有意な相関関係を認めた。このことから、特別なニーズがある子どもの活動・参加支援においては児の感覚処理特性に合わせた支援が有効であることが示唆された。 本研究期間全体を通じて実施した研究の成果として、子どもの活動・参加に関する評価法である日本版PACSを開発したこと、および日本版PACSによる評価を実際に行ったことで、その有用性を確認したことが挙げられる。今後の研究展開として、日本版PACSの標準化に向けた研究の推進や、日本版PACSを用いて疾患や障害毎に活動・参加の特徴を捉えて具体的な支援策に結び付ける試みが必要である。
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