2022年度は、地域在住高齢者を対象に、歩行パラメータ計測および老年症候群の各指標の計測を行った。約900名を対象に実施した。歩行パラメータは通常歩行、最大歩行を対象とし、身体各部位(腰部、両下腿部)へ貼付したウェアラブルセンサーにより計測した。計測したデータは各センサーの加速度、角加速度、傾斜角度および歩行速度である。2022年度に計測した歩行パラメータは現在、歩行周期の同定を含めて処理中である。 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、ウェアラブルセンサーを用いた歩行パラメータの計測は研究期間全体では2019、2022年度の2回のみであり、2020年度は計測できず、2021年度は歩行速度のみの計測となった。 研究機関全体を通した研究成果としては、骨盤に貼付したセンサーから得られた情報では、骨盤加速度の定常性・対称性といったパラメータが高齢者の筋量低下や加齢、認知機能低下、外出機会の少なさといった要素と関連していることが明らかとなった。また、大腿・下腿に貼付したセンサーから得られた情報では、立脚後期の下肢伸展角度(股関節と足関節を結ぶ線と空間での垂直軸のなす角度)は、遊脚期の膝関節屈曲角度および歩行速度と関連していることや、加齢によって膝関節屈曲角度が低下する、Walk Ratio (歩幅を歩行率で除したもの)に、男性では握力、女性では骨格筋量が影響し、関節角度においては,男性では股関節伸展角度・足関節底屈角度・TLA、女性では足関節底屈角度・TLA が関連することが明らかとなった。これらの結果を学会や論文を通して発表した。
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