研究課題
若手研究
クレアチン・サイクルはミトコンドリア内のmtCKと細胞質内のCKBにより、ミトコンドリアで産生されたATPをリン酸化クレアチンの形で細胞質に移送する経路で、第3のエネルギー代謝経路として位置づけられている。大腸癌細胞でCKをDNFBで阻害すると、腫瘍増殖や幹細胞性が低下し、さらにリン酸化シグナル経路が抑制された。骨格筋細胞においては、mtCKやCKBは骨格筋分化シグナルを活性化するp38のリン酸化に関与しており、CKBの発現誘導は悪液質による骨格筋成熟障害を回復させた。
リハビリテーション医学
本研究の結果、クレアチン・サイクルが骨格筋分化と成熟に重要な役割を果たしていることが明らかになった。癌においてはクレアチン・サイクルの抑制は癌を抑制するが、骨格筋においても筋成熟度の低下を招く。しかし、クレアチン・サイクルの活性化は悪液質による骨格筋障害を改善する。これらの結果から、クレアチン・サイクルの骨格筋選択的な活性化により、がん性サルコペニアの改善をもたらすことが可能であり、重要な分子標的と考えられた。