研究課題/領域番号 |
19K19917
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
手塚 正幸 自治医科大学, 医学部, 助教 (40721311)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 脳卒中 / リハビリテーション / fNIRS / ニューロフィードバック / 脳機能個人差 |
研究実績の概要 |
研究の基本的スキルの獲得(Matlabによるデータ解析手法など)を進めた。併せて、研究テーマに沿った実験パラダイムの考案を進め、機能的近赤外分光法 (fNIRS:functional near-infrared spectroscopy)を用いた神経活動計測のための系を構築した。さらに健常成人ならびに片側運動麻痺を伴う脳卒中患者を対 象とした実験を積み重ねた。先行基礎研究として、健常若年者を対象とした24症例に対して視覚条件と振動条件の探索課題を行い、2つの条件での探索効率を比 較しどちらが優位か計測することと同時にfNIRSを用いて運動課題中の前頭前野活動を測定した。この結果、視覚条件課題では個人差がみらせず、振動条件課題 では個人差を認めた。その個人差を反映する脳基盤として両側背外側前頭前野の脳活動であることが示された。この背外側前頭前野に内在する脳機能としてワー キングメモリの呼ばれる脳機能があるが、そのワーキングメモリ機能に介入する新たな手法としてfNIRSを使ってリアルタイムに個人の脳活動を測定し、ワーキ ングメモリが内在する両側背外側前頭前野活動を賦活するよう誘導するニューロフィードバックを行う系を構築した。このようなリアルタイムニューロフィード バック系を用いて、当院に入院している片側上肢麻痺を持つ急性期脳卒中患者を対象として20名に実施した結果、ワーキングメモリ機能が高い個人ほど両側背側 前頭前野活動が上昇する傾向が認められ(n=20、群間比較 p=0.072)、これらの研究成果を脳神経外科学会や脳卒中学会に報告した。現在は症例数を計30名に増やし、より群間差や訓練効果差についての結果を解析中で学会報告や論文として発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳卒中患者においての本リアルタイムニューロフィードバックを用いて得られた結果を解析している段階である。先行20症例では訓練効果差がでる傾向を得ており(n=20、群間比較 p=0.072)、現在は計30症例に実施しており、さらに結果を解析中である。
|
今後の研究の推進方策 |
脳卒中急性期発症の患者に対して、本ニューロフィードバック計を用いて両側前頭前野活動の修飾訓練を行うことにより、中途解析であるが両側背外側前頭前野活動の活動上昇とワーキングメモリ機能個人差の関連が明らかになりつつある。本ニューロフィードバックの訓練効果を明らかにするべき、より多くのデータを蓄積している。現在、症例数は30名に達しており、蓄積しているデータをより高精度解析を行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
余剰金が生じた理由として、実験症例集めと情報解析に遅れが生じ、物品購入ができず余剰金が生じた。初年度は不足する物品補充の購入が多かったが、次年度は症例数を集めるための謝金やデータ解析が多く必要となることが予想される。より多くのデータ集積・ 高精度解析にも予算を充てる予定である。
|