研究課題
本研究は、左室補助人工心臓を装着した心不全患者に対する遠隔モニタリングによるリハビリテーションが、患者の運動耐容能を向上するか否かについて明らかにすることを目的に行われている。2019年度には、遠隔モニタリングに用いる身体活動量計の購入、モニタリングシステムの準備を行った。また、左室補助人工心臓を装着した心不全患者を対象に、左室補助人工心臓装着前における運動療法の安全性と効果について検討した結果、左室補助人工心臓装着を待機中の患者に対する運動療法が有害事象なく運動機能を向上することに加え、運動量後の運動機能が手術後の運動耐容能と関係することが明らかとなり、この結果を国内学会で報告した。ほかにも、心不全患者に対する運動療法の効果について研究を進めている。心房細動が運動療法の効果に与える影響を検討した研究では、心房細動を有する患者は高齢でベースラインの運動機能は低下しているが、運動療法による効果は心房細動の患者と洞調律の患者で差がないことを明らかにし、ヨーロッパ心臓病学会2019(ESC congress 2019)のModerated Poster Sessionに採択され報告した。さらに、運動療法による呼吸筋力の変化が予後に与える影響を検討した結果、呼吸筋力が向上するほどイベント発生率が有意に減少することを明らかにし、この研究結果は英文誌に掲載された。今後、より有用な遠隔モニタリングシステムの構築を進め、患者の取り込みを開始していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
遠隔モニタリングに必要な環境の整備、物品の準備を行っている。多職種からの協力体制、患者に対する評価を実施するための体制は整っているため。
遠隔モニタリングのシステムを構築し、研究プロトコールの詳細が整い次第、患者の取り込みを開始する。
遠隔モニタリングに必要な設備の選定を行ったため、まだ購入していない物品がある。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
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