研究課題
本研究は、左室補助人工心臓を装着した心不全患者に対する遠隔モニタリングを用いた身体活動量管理を中心としたリハビリテーションが、患者の運動耐容能を向上するか否かについて明らかにすることを目的に行われている。2020年度には、遠隔モニタリングの方法を整備し、左室補助人工心臓を装着した患者に対する退院後の身体活動量計管理を開始した。現在、2名の患者に対して身体活動量管理を実施し、退院後の経過を観察している。今後、主要な評価を進めていく予定である。ほかにも、心不全患者に対する運動療法の効果について研究を進めている。まず、高齢心不全患者における心房細動が運動療法を中心とした心臓リハビリテーションの効果に与える影響を検討した。結果として、心房細動を有する患者は洞調律の患者と比較してベースラインの運動機能が低く他の合併症を多く有しているが、運動療法による運動機能の変化は心房細動の有無で有意な差がなく、心房細動を有する患者であっても運動機能の変化が大きいほど予後が良好であることが明らかとなった。これらの結果は、英文誌に採択された。さらに、心血管疾患患者の重要な病態である呼吸筋力の低下とフレイルの状態が予後に与える影響を検討した。この研究から、心血管疾患患者において、呼吸筋力の低下と身体的フレイルとの間に独立した関係を示し、呼吸筋力の低下はフレイルの有無にかかわらず予後不良と関連することが明らかとなった。この研究結果はヨーロッパ心臓病学会のアワードセッションにノミネートされた。
2: おおむね順調に進展している
物品の準備は出来ており、患者の取り込みを開始している。
現在、身体活動量管理を進めている2名について、退院後の疾病管理、リハビリテーションを遠隔で評価し、運動機能の再測定を実施する。また、対象者の取り込みを継続し、症例を集積する。
国内外の学会がすべてオンライン開催となったため、予定していた旅費の使用が少なく次年度使用額が生じた。オンライン参加に必要な経費や論文執筆における英文校正の為、使用する。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Annals of Physical and Rehabilitation Medicine
巻: - ページ: -
10.1016/j.rehab.2020.101466
Scientific Reports
巻: 11 ページ: -
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循環器内科
巻: 87 ページ: 476~481