研究課題
本研究は、左室補助人工心臓を装着した重症心不全患者に対する遠隔モニタリングを用いた身体活動量管理を主としたリハビリテーションが、運動耐容能を向上するか否か明らかにすることを目的に行われている。2021年度には、補助人工心臓を新たに装着した患者4名を取り込み、身体活動量管理を含む心臓リハビリテーションおよび疾病管理プログラムを開始した。また、2020年度に取り込んだ患者2名を含む5名において主要な評価の測定を完了した。この5名の患者における身体活動量は、手術前と比較し退院後に増加しており、運動耐容能は退院時と比較し退院後5か月時で向上する傾向を認めた。またQOL指標も同様に、退院5か月時において退院時と比較し改善する傾向を認めた。身体活動量の変化と運動耐容能およびQOLの変化との関係についても、今後、症例をさらに集積して検討していく予定である。ほかにも心不全患者に対する運動療法の効果についての研究を進めている。心不全患者において最も多い合併症の一つである腎機能障害が運動療法の効果に与える影響を検討した研究では、腎機能が低い患者においても運動療法によって身体機能を向上させるが、腎機能が低いほど運動機能向上の程度は少なく、運動療法による予後改善効果も乏しいことが明らかとなり、これらの結果が英文誌に掲載された。なお、この研究結果はヨーロッパ心臓病学会のコメディカルアワードセッションにノミネートされ、審査によってwinnerを受賞した。また、カテーテル型補助循環装置であるIMPELLA挿入中の重症心不全に対するリハビリテーションの安全性を検討した症例について、英文誌に報告した。
2: おおむね順調に進展している
患者の取り込みを継続している。ただし、新型コロナウィルス蔓延による手術の制限等により、対象患者は予定よりも少なくなっている。
現在、合計6名の補助人工心臓装着患者が取り込まれており、5名について退院後の身体活動量管理を実施し、主要アウトカムである運動機能の評価を完了した。引き続き、患者の疾病管理と身体活動量管理を用いたリハビリテーションを行い、運動機能評価を行っていく。また、対象者の取り込みを継続し、症例を集積するとともに、得られた結果を公表する。
国内外の学会がすべてオンライン参加となったため、予定していた旅費の使用がなくなり次年度使用額が生じた。結果の公表に向けて、参加可能な学会への旅費や論文執筆における英文校正および論文掲載費に使用する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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