研究課題
本研究は、左室補助人工心臓を装着した重症心不全患者に対して、遠隔モニタリングによる身体活動量の管理を用いた包括的心臓リハビリテーションが、患者の運動耐容能を向上するか否かについて明らかにすることを目的としている。2022年度には、左室補助人工心臓を新たに装着した患者2名を取り込み、身体活動量の管理を開始するとともに、心臓リハビリテーションおよび疾病管理プログラムを継続することができた。また、2021年度までに取り込んだ患者6名において、退院後の疾病管理を継続し、退院5ヵ月時点の運動機能や運動耐容能といった主要アウトカムの評価測定を完了した。この6名の患者において、身体活動量は退院後に増加することが分かり、さらに、下肢筋力や歩行速度、運動耐容能といったアウトカムも退院時と比較し退院後5ヵ月時には向上する傾向を認めた。今後、症例の集積を継続して、身体活動量の増加が運動耐容能の向上に寄与するか否かについて検討していく予定である。ほかにも心不全患者を対象とした研究を進めている。心不全患者において多く合併する呼吸筋力の低下と高齢心疾患患者で問題となるフレイルとの関係を調査した研究では、身体的フレイルが呼吸筋力の低下と独立して関連することを示した。さらに、身体的フレイルを有する患者においても、呼吸筋力の低下が再入院や死亡といった不良な予後と有意に関連することが明らかとなり、これらの結果は英文誌に掲載された。
3: やや遅れている
左室補助人工心臓の装着手術を受ける対象患者が予定より少ないため、やや遅れいている。今後も患者の取り込みを継続する。
現在、合計8名の補助人工心臓装着患者が取り込まれており、6名について入院中から退院後の身体活動量管理を実施した。また、退院5か月時点の運動耐容能を主要アウトカム評価として完了した。引き続き、対象者の取り込みを継続し、身体活動量の管理を用いた運動療法介入を実施し、退院後の疾病管理を継続するとともに運動機能評価を行っていく。また、得られた結果を公表する。
2021年度までの国内外の学会がすべてオンライン参加となったため、予定していた旅費の使用がなくなり次年度使用額が生じた。結果の公表に向けて、参加可能な学会への旅費や論文執筆における英文校正費に使用する。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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