研究課題/領域番号 |
19K19923
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大城 直美 杏林大学, 保健学部, 助教 (20646939)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 外肛門括約筋 / 腹壁筋 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
外肛門括約筋の運動ニューロンの経時的変化を確認するため、糖尿病発症後1ヵ月、3ヵ月(以下、糖尿病群)と、同週齢のコントロールラット(以下、対照群)で比較したところ、対照群と運動ニューロンの数や大きさに明確な差がないことが確認された。糖尿病発症後更に週齢を経たもので変化があるか確認するため、糖尿病発症5ヵ月のラットと同週齢の対照群とで比較した。結果、糖尿病発症後5ヵ月のラットにおいても対照群と運動ニューロンの数と大きさにおいて差がないことが判明した。これは腹壁筋とは異なる結果となったため、糖尿病における中枢神経への影響は筋によって異なると考えられた。 腹壁筋の免疫組織学的解析は試薬の希釈と筋線維のtype(遅筋線維のtypeⅠ、速筋線維のtypeⅡa、typeⅡb)別の試薬の反応が一定とならず、結果が得られていない。腹壁筋末梢神経の神経伝導速度の測定は、筋を切断することで不確実な結果となってしまうため実施は困難であった。外肛門括約筋の神経伝導速度は糖尿病発症後1ヵ月、3ヵ月、5ヵ月と、同週齢の対照群で比較したところ、対照群と差がないことが確認され、運動ニューロンの結果と相違なかった。 末梢神経の形態変化を見るためエポン包埋にて標本作製を実施したが、外肛門括約筋の末梢神経では運動ニューロンと感覚ニューロンが混在しているため形態解析だけでは運動ニューロンの変化は判別が困難であり、化学的手法を用いて同定をすることが必要となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
外肛門括約筋の運動ニューロンの結果にばらつきが見られたことにより、再度糖尿病発症1ヵ月後、3ヵ月後のラットの外肛門括約筋の運動ニューロンを調べた。結果、対照群と大きな差が見られなかったため、更に糖尿病発症5ヵ月後のラットで運動ニューロンを調べたため、検討に時間を要した。 腹壁筋と外肛門括約筋の筋の免疫組織学的解析はTypeⅠ繊維を確認し、typeⅡA、ⅡBについては試薬の検討を見直している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
腹壁筋と外肛門括約筋の免疫組織学的解析を、糖尿病発症後1ヵ月、3ヵ月、5ヵ月と、同週齢の対照群ですすめていく。また、末梢神経のエポン包埋から、末梢神経の形態変化も確認していく。腹壁筋末梢神経の神経伝導速度の測定を、筋のM波(筋収縮)を測定したものから計測する方法で再検討する予定である。 腹壁筋においては、糖尿病発症5ヵ月の運動ニューロンは確認していないため、新たに研究計画に加える検討予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加予定であった学会の旅費が発生しなかったため。
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