研究課題/領域番号 |
19K19926
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
小島 翔 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (10780330)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 機械的触覚刺激 / 脳活動 / 感覚機能 |
研究実績の概要 |
ヒトの身体機能の向上には,単独の皮質領域の変化だけでなく,複数の皮質領域間の相互的な活動(皮質間ネットワーク)が重要であると示されている.本研究は,感覚機能の変化に関連する皮質活動および皮質間ネットワークを明らかにし,機械的触覚刺激を用いたプレコンディショニングの効果を明らかにすることで,脳卒中患者に対する新たな介入手段を検討することを目指している. 本年度は,当初の予定のひとつである,感覚機能に関連する皮質活動および皮質間ネットワークの検討を実施した.具体的には,2種類の機械的触覚刺激介入前後で,脳磁図を用いて誘発活動および安静時の脳活動を記録し,解析を実施した.その結果,刺激面全体を同時に刺激する介入では誘発電位が増大し,刺激が左右に移動する条件では誘発電位が減弱した.一方,安静時の脳活動に関しては,介入前後で変化は認められなかった.誘発電位の変化と安静時の脳活動変化を解析すると,刺激が左右に移動する条件において,誘発電位の変化と安静時の脳活動変化に有意な相関関係が認められた.一方,刺激面全体を同時に刺激する条件では,同様の関連が認められなかった.したがって,本年度の検討から,一定時間の機械的触覚刺激介入は,皮質活動を変化させることが可能であり,その効果は,刺激パターンに依存することが示唆された.また,本研究結果は,一定時間の機械的触覚刺激により,感覚機能に関連する皮質領域の活動を変化させることが可能であることを示唆した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,機械的触覚刺激介入が皮質活動に及ぼす影響を明らかにした.しかしながら,皮質間ネットワークの計測および解析は,計測手法および解析手法の確認に時間を要しているため,今後,精力的に取り組んでいきたい.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,皮質間ネットワークの解析を進めるとともに,機械的触覚刺激によるコンディショニングが知覚学習に及ぼす影響を検討していく.さらに,神経学的指標と知覚学習変化との関連を検討していくことによって,脳卒中患者への治療応用へとつなげていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた解析手法では不十分であったため,さらに解析を進めていく必要性が出てきた.また,刺激条件の追加により触覚刺激装置のアップグレードも必要となった.そのため,解析用のハイスペックPCや解析ソフト等の購入および触覚刺激装置のアップグレードに充当する予定である.
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