研究課題/領域番号 |
19K19933
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研究機関 | 九州情報大学 |
研究代表者 |
橋爪 善光 九州情報大学, 経営情報学部, 准教授 (20779847)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歩行 / 関節間シナジー / 加齢 / 転倒予防 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、健常若年者と健常高齢者の歩行運動の違いを明らかにし、加齢による歩行運動の違いから転倒増加要因を推定し、転倒予防トレーニング方法を提案することを目的としている。 まずは歩行周期中の下肢の運動に注目して加齢による関節間の連携運動(関節間シナジー)の変化を調べることから着手する。具体的には歩行周期中の各瞬間における股関節に対する足先位置および速度のばらつきを抑える関節間シナジーの変化を定量的に評価する。さらに、その関節間シナジーに各関節運動がどの程度寄与しているかを評価し、その加齢による変化を明らかにしていく。 初年度はまず20歳前後の健常若年者10名の歩行計測実験を実施した。現在までに各関節のラベリング作業までが終了した。 また、運動能力低下の定量的評価を3次元動作解析装置など大掛かりな装置なしに手軽に実施することができれば、ロコモティブシンドロームの簡易診断にもつながる。ロコモティブシンドロームを早期発見し、転倒予防トレーニングを取り入れることで高齢者の社会生活維持に寄与すると考えられる。初年度はStroke Impairment Assessment Set(SIAS)の運動機能の運動を3次元動作解析装置と加速度センサーを用いて計測し、両データを比較することで、加速度センサーのみで運動麻痺の定量的評価が可能か、その信頼性および妥当性について検証するための予備実験を医療法人田中会武蔵ヶ丘病院の理学療法士藤井廉さんと共同で実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に10名の健常若年者の計測実験を実施できた。今後も被験者数を増やす必要があるものの、10名分の解析でも傾向はかなり掴めると考えられる。また、運動機能評価方法についての検討も同時にすすめており、運動麻痺の評価からロコモティブシンドロームへと広げていける可能性はある。さらに健常高齢者の歩行計測実験については、いくつかの施設に対して実験協力の相談をさせていただいており、今後それらの施設と具体的に実験協力をお願いできると若年者で実施した実験装置を適用して実験が可能と考えている。以上の成果より、初年度の進行状況はおおむね順調と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
まずは歩行計測の済んだ若年者の関節間シナジーの解析を行う。一方で若年者の被験者数の拡充および高齢者の歩行計測実験の実施を行っていき、それぞれ関節間シナジーの解析を実施していく。若年者と高齢者の解析結果を比較することで加齢による歩行運動の変化を明らかにし、転倒増加要因を推定していく。また、同時にSIASの運動機能の動作の計測を三次元動作解析装置と加速度センサーを用いて行い、両データを比較し運動機能の定量的評価を構築していく。
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