研究課題/領域番号 |
19K19936
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
本多 武尊 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (20761307)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 内部モデル / 小脳 / 運動学習 / 順モデル / 逆モデル / 長期記憶 |
研究実績の概要 |
小脳は学習を行うことで内部モデルを構築し、日常の運動をスムーズに行うことを実現していると考えられている。さらに、その内部モデルを長期記憶として形成されることによって、より安定的な運動を実現している可能性があるが、内部モデルがどのようなメカニズムで長期記憶へと移行しているのかについては明らかにされていない。本研究では、(1)プリズム適応課題を応用したヒトの行動実験を行い、どのような条件で長期記憶へ移行するのかについてを調べる。 (2)理論的枠組みを構築し、小脳の内部モデル機能を明らかにする。(3)この理論的知見に基づき、クリニカルインデックスを開発し、小脳患者の小脳の運動学習に機能を測定し、臨床への貢献を目指す。 当該年度はCOVID-19感染拡大の影響が予想以上にとても大きく、新規の被験者数を増やすことが困難で、さらに、同一被験者の長期間での繰り返し計測も難しい状況であった。しかしながら、ヴァーチャルリアリティー(VR)技術と赤外線センサによるモーションキャプチャー技術を応用したシステムにより、VRのゴーグルを外すことなく運動学習の計測と心理学テストを行えるように修正を行ったため、獲得した内部モデルが時間に伴ってどう変化するかを見ることができるようになり、より詳細に長期記憶へのメカニズムを探る環境が整った。このタスクは、1時間程度のタスクを一度行うものであるため、当初計画されていたタスクよりも徹底した感染予防対策が可能となった。基礎的な理論的枠組みとして理論式の構築に成功し、小脳内部モデルが関与する運動について脳の計算原理が明らかになった。この成果を論文にまとめ投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大の影響のため、本来の計画であった病院内での計測ができず、新規の被験者を増やすことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
徹底した感染予防対策を行い、状況に応じて、健常者や脊髄小脳変性症患者の被験者数を増やし、データ収集と解析を進め、そのデータを基にした理論的枠組みの完成へと進めていく。それらの成果を論文にまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由) COVID-19感染拡大のため計測が難しくなることが予想されたので、購入予定であったVR機器、解析用の計算機とソフトウェアに加えて、システム制御用ソフトウェアの購入を見送り、感染予防対策を考慮し、タスクの見直しやシステムや機器の設計の見直しを行った。幸運にも予想以上に理論的枠組みの構築と定式化が進んだ一方、データ収集が困難であったため当該年度で実施予定であった大規模シミュレーションによる調査ができなかった。 (使用計画) 次年度では、最新VR機器、解析用の計算機とソフトウェアに加えて、システム制御用ソフトウェアと大規模シミュレーション用計算機を購入する計画である。
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