柔道の事故は,後頭部を打ちやすい後方に倒れる技に多くみられる.2016年に起きた重大事故では,48kgと117kgの中学生によって発生し,事故の要因は後方に倒れる技のみでなく,体重差も影響していることが考えられる. そこで,本研究の目的は,柔道の投げ技における体格差が投げられる人の頭部に生じる並進・角加速度を測定し,危険要因とされている体格差の影響を明らかにする. 今年度は本実験を行うための準備,確認,被験者選定,予備実験を終了させることである.被験者は大学柔道選手を対象とし,以下の方法・手順にて予備実験を行った. 1.測定する機器は,3軸加速度および角速度センサ(MA3-50AD-RDB-SS,MVP-RF8-GC,Micro Stone社製)を使用した.2.センサの取り付け方は身体運動面の矢状面の左右方向をX軸,前額面の前後方向をY軸,水平面の垂直方向をZ軸とし,市販のヘッドギアの頭頂部に両面テープで貼り付けた上から養生テープで貼り付けた.3.頭部加速度の測定には,投げられる人が頭頂部にセンサを取り付けたヘッドギアを装着し, PCによってセンサのサンプリング周波数を200Hzにセットしたあと,投げられる人が直立姿勢になり,センサのキャリブレーションを行った.4.センサの設定終了後,指定した被験者の組み合わせ・投げ技によって投げて実験を行った.5.測定試技は各5回行い,被験者に対しては投げ技終了後,受け身及び投げ技の内省を確認し,十分でない場合は繰り返し行った.6.データはセンサから無線で自動的に情報端末(PC)へCSVファイルとして送られるため,エクセル2010で読み込み,並進(G)・角加速度(rad/s2)を算出した. 以上のとおり,予備実験の確認を行った.
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