研究実績の概要 |
本研究の目的は,柔道の投げ技における体格差が投げられる人の頭部に生じる並進・角加速度を測定し,危険要因とされている体格差の影響を明らかにすることである. 2021年度は,2020年度と同様に予備実験で確認された内容をもとに体格差による加速度の変化を明らかにすることであったが、新型コロナウイルスの感染予防の観点から,実験を実施することができなかった.そのため,予備実験で行ったデータの分析および解析を行った.予備実験では,被験者(投げられる人)は大学柔道選手の60kg,66kg,73kg,81kg,90kg,100kg級とし,実験協力者(投げる人)は100kg,+100kg級を対象に実施した.対象とした試技は大外刈りとした.測定機器は3軸加速度および角速度センサ(MA3-50AD-RDB-SS,MVP-RF8-GC,MicroStone社製)を使用した.センサは身体運動面の矢状面の左右方向をX軸,前額面の前後方向をY軸,水平面の垂直方向をZ軸とし,市販のヘッドギアの頭頂部に取り付けた.実験は,投げられる人が頭頂部にセンサを取り付けたヘッドギアを装着し,体格差によって投げられた際の頭部加速度を測定した.測定試技は各5回行い,被験者に対しては投げ技終了後,受け身及び投げ技の内省を確認し,十分でない場合は繰り返し行った.分析項目はX・Y・Z軸の最大となる並進加速度,角加速度,合成の並進および合成角加速度とし,データ処理を行った.その他,次年度の本実験を計画通りに進めるために,研究協力者と研究方法,被験者の選定・調整などの確認を行った.得られたデータについては、研究協力者と定期的に議論しながら考察を行った. 今後の研究計画として,新型コロナウイルスの感染予防対策を徹底しながら,実験を進める予定である.
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