本研究の目的は、多角的な視点(流体力学や運動効率など)による調査を通して、クロール泳におけるバタ足の役割を体系化することであった。その中で、最終年にあたる2021年度は「クロール泳中のバタ足の役割に関する総説を国際誌に投稿する」ことを、当初の目的として位置付けていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による実験の遅延や中止によって、この目的を達成するに至らなかった。ただし、その中で、以下2点の成果を得ることができた。 1点目は、本研究目的を達成するための測定環境を、申請者の所属大学へ新たに整備できたことである。2020年度に実施予定であった他大学での実験を感染症対策により実施できなかったことを踏まえ、2020年度に続き、2021年度も学内での実験環境整備に取り組んだ。その際、他大学に設置された設備に内在した課題を解決するための、工夫を凝らした仕様とした。世界的な金属類の材料不足による影響で、当初よりも整備が遅延したものの、今後その環境を用いつつ、学内での研究年度内にできなかった実験を実施する予定である。 2点目は、本研究テーマに関する申請者のこれまでの研究も踏まえ、国内誌にその総説を投稿し、2022年度の初めには掲載される予定である。そして、その総説の執筆時に、本研究テーマの新たな課題や着眼点に気づくことができた。そのため、その気づきも踏まえ、今後実験を行い、それらを踏まえた成果を学術論文や総説として今後投稿する。 他にも国際共著論文に参加することや、「抵抗力と動作の関係」に着目した研究アイディアを見つけることができたことも、2021年度の大きな収穫である。
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