研究課題/領域番号 |
19K19958
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研究機関 | 新潟食料農業大学 |
研究代表者 |
山中 亮 新潟食料農業大学, 食料産業学科, 講師 (50632840)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 低酸素トレーニング / 高強度トレーニング / 長距離走者 |
研究実績の概要 |
本研究では、陸上競技長距離走者を対象に、異なる酸素濃度吸気条件下において高強度のバイクトレーニングを実施した場合、条件の違いによってトレーニングによる長距離走者の運動パフォーマンス及び乳酸代謝能の変化に差異があるのかどうかを検討することを目的とした。 対象者は、長距離走者13名であった。対象者を、常酸素吸気群(酸素濃度:20.9%)と低酸素吸気群(酸素濃度:14.4%)とに分け、2週に5回の頻度で6週間、それぞれの条件でトレーニングを実施させた。高強度トレーニングとして、電動式バイクエルゴメータを用いて、体重の7.5%の負荷(kp)で100回転の回転数をできる限り維持させる20秒間の運動を10秒間の休息を挟みながら8回実施させた。トレーニングの前後で、トレッドミルを用いたステップ負荷運動及び漸増負荷運動を実施した。ステップ負荷運動の各ステージ終了後に血中乳酸濃度を測定し、乳酸代謝能として血中乳酸濃度が2及び4mmol/l時の走速度を算出した。漸増負荷運動時の運動持続時間を長距離走者の運動パフォーマンスとした。 トレーニング時の仕事量の総量は、常酸素群の方が低酸素群よりも有意に高くなった。漸増負荷運動時の運動持続時間は両条件とも有意に増加したが、条件間に差異が認められなかった。血中乳酸濃度が2及び4mmol/l時の走速度は、低酸素群において、トレーニングによってそれぞれ有意に増加した。一方、常酸素群においては、4mmol/l時の走速度のみ有意に増加した。 低酸素トレーニングによって、トレーニングの総量が常酸素トレーニングよりも低かったが、トレーニングに伴う乳酸代謝能及び運動パフォーマンス向上には差異が認められなかったことから、低酸素トレーニングではトレーニング量が少なかったとしても常酸素トレーニングと同等に運動パフォーマンス及び乳酸代謝能を高められることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに、低酸素トレーニング実験を実施できているため。
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今後の研究の推進方策 |
初年度において、トレーニング実験を実施できたが、被験者数が少ないため追加実験を実施する。また、二つの目の実験として、長距離走者を対象に、より効果的なスプリントトレーニングを実施し、スプリントトレーニングによる体力の変化と運動パフォーマンスの変化の関係性を検討していく。
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