研究課題/領域番号 |
19K19959
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研究機関 | 旭川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
阿羅 功也 旭川工業高等専門学校, 一般人文科, 助教 (90781691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 蹴鞠 / 技術復元 / 蹴鞠使用球の作成 / 蹴鞠復元研究 / 地下鞠 / 公家鞠 |
研究実績の概要 |
2019年度においては、主に2点が実績として挙げられる。 まず、これまで明らかにしてきた地下鞠(大衆)技術と公家鞠(貴族)技術の比較検討を行った点である。この成果は『東北アジア体育・スポーツ史学会(台湾)』・『北海道体育学会』にて報告した。『北海道体育学会』では若手研究者賞を受賞していただき、一定の成果が形として残すことができた。この比較研究はこれまで技術の復元が未着手であったため開拓されておらず、今後も修正が必要になってくる 。 二つ目は、技術復元研究における再現性を向上するために取り組んでいる『簡易式蹴鞠使用球』の作成である。この作業を遂行するために一次情報として京都府京丹波町を訪れ『けまり鞠遊会』の協力のもと蹴鞠制作技術を調査した。その一次情報を元にし、最先端技術×歴史という観点から、誰しもが触れることのできる蹴鞠を目指した。現在は蹴鞠使用球の型取り作業までが完了している。
今年度の取り組みとしてのキーワードは「視覚化」することであった。文字情報での史料を視覚化することによって比較検討が実行できた。公家鞠技術との比較では、公家鞠と地下鞠の両者を動画で撮影し、隣り合わせにして再生することによって膝の使い方や角度も明確になり議論の種を撒くことができた。学会では動画だけでなく自ら披露することによってよりわかりやすく伝えることが可能となったことも今回の研究の特徴である。歴史に触れる機会を設けることもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地下鞠技術と公家鞠技術を比較することにより、地下鞠の特徴をはっきりさせることができた。以前から地下鞠技術の復元には着手していたが、2019年7月28日に『けまり鞠遊会』へ調査に伺った際、蹴鞠使用球を引き継がせていただいたことにより再現性がより向上した。この進展は今回の研究にとって大きなポイントである。これまでの再現では市販のボールを使用していたため、どうしても実際の感触の中での再現ができなかったわけである。 また、『けまり鞠遊会』では蹴鞠制作工程も調査させていただいため、これまにない観点から再現研究にアプローチすることも可能になったため、現在研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は主に『鞠足(プレーヤー)の育成』と『蹴鞠使用求制作』に着手する。 「地下鞠技術の復元」の精度を上げるためには、グループでの動きも再現する必要がある。現状、再現には本研究責任者である阿羅が実行から撮影を行っている。しかしグループでの動き(縮開)を再現しようとすると人手不足である。まずはこの課題を解消したい。そのために『鞠足(プレーヤー)の育成』に着手する予定である。 『蹴鞠使用求制作』については複数人で蹴鞠の練習を行う際に譲り受けた蹴鞠使用球のみでは効率が悪い。破損の恐れもある。蹴鞠に使用される球は。鹿革で作られており希少価値の高い関係から手に入りにくいため、市販の革を使用した『簡易式蹴鞠』を作成することを今後の研究目標としたい。尚、この『簡易式蹴鞠』においては蹴鞠職人である『けまり鞠遊会』池田氏の監修のもと実施する。
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