外乱刺激に対して姿勢の安定性を保持する能力はスポーツ競技において重要な能力の一部である.本研究の目的は最大下咬合が外乱に対する姿勢制御に及ぼす影響を検証することである.本研究では外乱刺激前・後の姿勢制御である予期的・反応的姿勢制御に着目して検証した.噛み締めは,身体への衝撃時の開口筋の活動と頭部加速度のいずれにも影響を与えないことが明らかとなった.また,噛み締め条件では,予期的・反応的姿勢制御の両期における頸部・体幹・下肢筋の筋活動量が増大した一方で,外乱刺激後の姿勢安定性を増す効果は見られなかった.噛み締めが外乱に対する姿勢制御に及ぼす影響は限定的である可能性が示唆された.
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