研究課題/領域番号 |
19K19967
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
福原 真一 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (70745497)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 筋音図 / 筋電図 / ペダリング / 変位筋音図 |
研究実績の概要 |
健康日本21の策定等により健康寿命延伸の重要性について注目されている。フレイルやロコモティブシンドロームの予防のために我が国のスポーツや運動への関心が高まっている。運動能力の探求や日々の運動の動機づけのためにも簡便に筋機能を定量的に評価する手法が求められている。これまで研究代表者らは筋の電気的活動と機械的活動を反映する筋電図と筋音図を同時測定できる筋音/筋電ハイブリッドセンサを開発し、本センサによって得られた筋音図と筋電図から動的運動中の筋収縮力が評価できることを明らかにしてきた。筋電図は筋収縮の入力信号であって、筋音図はその出力信号と捉えられることから制御工学でいう伝達関数と同様の取り扱いが可能で、筋音/筋電比(出力/入力)は筋収縮時の筋の利得すなわちパフォーマンスの指標として解釈することができる。この指標により関節運動に寄与する個別の筋の質的な評価が可能となり、筋収縮機能の評価だけではなく持続的な運動による疲労の影響をも捉えることが期待される。 以前より研究を進めている筋機能をリアルタイムに評価できる解析手法が実用可能なものとなったため、この解析手法を本研究課題にも適応することにした。最終的には運動習慣群と非運動習慣群の2群で筋音/筋電比の比較を行う予定である。今年度は非運動習慣群を対象に筋音図と筋電図のデータを取得し、運動負荷に対する両信号の推移、それらの相関さらには筋音/筋電比の検証を行った。得られた計測データの検証により以下のことが明らかとなった。①運動負荷とともに両信号は増加したが、筋音図に関しては多くの被験者で高負荷で一定となった。②筋電図と筋音図の相関は弱く、またその傾きも小さいものであった。③筋音/筋電比では軽い負荷の場合大きい値を示したが、運動負荷が大きくなるにつれてその値は減少していった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験プロトコルの構築中に、ペダリング中の膝関節の伸展範囲が筋音図に影響を及ぼすことが確認されたため、実験を一時中断して9月までペダリング中の膝関節角度(ペダリングストローク)の違いが筋音図と筋電図にどのように影響するかを検討した。本検討事項は既に検証済みであり、現在、この実験によって得られた知見を英文誌に投稿中である。 10月からは上記検討事項を踏まえて、非運動習慣群を対象にリカンベントバイクのペダリング動作における内側広筋、外側広筋の筋音図と筋電図の計測を行った。動的運動中における筋のパフォーマンスを筋音/筋電比および運動中の筋の寄与率(貢献度)から検証を行った。予定している非運動習慣群の計測は全て終了しており、本研究の成果を第59回日本生体医工学会大会での発表および専門誌に論文を投稿予定である。こうした進捗状況から、本研究課題の進捗状況に関しておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は運動習慣群を対象に同様の実験・解析を進めていく。その後、非運動習慣群との2群間比較し、筋音図と筋電図の複合的な評価が運動中の筋パフォーマンスを反映することを検証する予定である。また、筋パフォーマンスを運動者にリアルタイムでフィードバックできるシステムの開発にも着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 予定していた学会参加を中止したため。 (使用計画) 令和2年度は2件の国際学会、2件の国内学会での発表を予定している。また、論文投稿の際の投稿料、英文校正費の使用を計画している。さらに、実験に必要な消耗品類を購入する予定である。
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