研究課題/領域番号 |
19K19968
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
多賀 健 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (30803217)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 技術トレーニング / スキル / 動作分析 / 育成年代 / コーチング |
研究実績の概要 |
本研究は体育・スポーツにおける技術指導支援モデルの構築に向け,サッカーのドリブルスキルを題材に,指導法の開発と効果検証を目的とするものである。そのため,これまではサッカーのドリブルスキル向上における技術的変化を検証するために,中学1年生のサッカー選手をトレーニング群17名,コントロール群15名とした.トレーニング群はドリブルトレーニングを,コントロール群はパス&コントロールトレーニングを1回2時間行うトレーニングの中でトレーニング開始から約40分間行い,それを1週間に約3回の頻度で16ヶ月間実施した.両群はドリブルテスト,ドリブル時の動作撮影,第3者群との11 vs 11試合をトレーニング前,3ヶ月後,6ヶ月後,10ヶ月後,16ヶ月後に実施した.ドリブルテストのTimeはトレーニング群の方がコントロール群より減少幅が大きかった.ドリブル時の動作様式は,一例として,ダブルシザースフェイントでは,シザース時のTimeはトレーニング群の方がコントロール群より大幅に減少し,その要因としてトレーニング群のYZ面の左右方向における体軸傾きの標準偏差が小さくなったことが考えられる.さらに,身体重心速度はトレーニング群のみトレーニングが進むにつれて有意に増加した.その要因として,ボール接触時の支持脚膝関節角度が減少し,支持脚離地時の膝関節角速度が増加したことが考えられる.ドリブル成功率はトレーニング群のみ,トレーニングが進むにつれて有意に増加した.パス成功率はトレーニング3ヶ月後に両群共に減少傾向を示したが,その後はトレーニング群のみトレーニングが進むにつれて有意に増加した.以上の結果から,本研究の中学生を対象とした継続的なドリブルトレーニングは,ドリブルテストのTimeの減少やドリブル時の動作様式を変化させ,ドリブルスキルを向上させると共に,その向上がドリブルとパスに関するゲームパフォーマンスを高める一因となることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中学生年代のドリブルトレーニングによる動作様式の変化、及びゲームパフォーマンスに及ぼす影響については、2021年度に論文の査読が終了し、今現在は体育学研究に掲載されている。一方、2021年度からサッカーのドリブルスキルにおける年代別の習熟度の技能構造を解明するため、モーションキャプチャーによる3次元動作分析を行っていた。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、そのデータ採取・分析はやや遅れている。2022年度は上記の通り、年代別の習熟度の技能構造を解明し、年代別の習熟度の技能構造を解明し、本研究の目的を達成するための重要な知見を得たい。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、年代別の習熟度の技能構造を解明し、年代別の習熟度の技能構造を解明し、学術雑誌に投稿する予定である。しかしながら、まん延している新型コロナウイルスの影響により、研究計画の再度の見直し・再構成も必要になってくると予想される。それらを加味しながら、本研究の目的であるサッカーのドリブルスキルを題材とした、体育・スポーツにおける技術指導支援モデルの構築に向けた指導法の開発 と効果検証へ向け、2022年度は習熟度別チェックリストを作成し、見える化指導に繋がるアプリケーション開発に繋げたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度も一昨年度に引き続き、新型コロナウイルスのまん延、及び感染拡大が続いたため、新たなデータ採取を行うことが困難となり、計画していた実験に係る旅費等を使用しなかったことから次年度の使用額が生じた。また、新型コロナウイルスの影響により、感染予防を加味した新たな物品の購入等、予測困難なことが多く、当初の予定とは異なる物品や旅費、人件費等が必要になってくるであろう。2022年度は中学生年代のドリブルトレーニングによる動作様式の変化及びゲームパフォーマンスに及ぼす影響を研究発表する予定であり、その研究発表における旅費や、実施を計画しているアプリケーション開発に向けた費用を使用する予定である。
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