研究課題/領域番号 |
19K19969
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
丸山 啓史 呉工業高等専門学校, 人文社会系分野, 准教授 (70708651)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 指示能力 / カテゴリーの構築 / コミュニケーション / 戦術的思考 |
研究実績の概要 |
サッカーにおけるゴールキーパー(GK)指導導入期のGKが試合中に展開する発語と指示に着目し、U-11とU-12のGK指示量と指示内容を比較することでGK指示能力が形成される過程の一端の解明を試みた。調査対象者は山陽地方の少年サッカークラブ所属のGK64名であった。試合映像とGKの発語音声を基に作成した逐語記録をテキストマイニング手法を用いて分析した。その結果、GKの指示内容のカテゴリーの構築作業ではMAXQDA Analytics Pro 12を持ちて分析した。またカテゴライズされた指示量や質の年代別比較ではSPSS ver.25を用いて統計処理を行った。その結果を以下に示す。 1.攻撃に関わる指示と守備に関わる指示はそれぞれ7項目のサブカテゴリーで構成され、攻撃、守備に関わる指示ともにボールに直接関与した選手に対する指示の割合が多かった。 2.指示の量はU-12がU-11と比較して多く、両年代ともに試合序盤の指示量が試合中盤、終盤の指示量よりも多かった。 3.指示の内容はU-11の方がU-12と比較してディフェンディングサードへの指示割合が高く、守備局面の指示に偏る傾向であり、攻守の指示内容ともにオンプレーではボールに直接関与した選手に対する指示の割合が高かった。一方で、ボールに直接関与した選手に対する指示はオフプレーに偏る傾向があった。 以上の結果は、第60回山陰体育学会にて口頭発表した。また、日本運動・スポーツ科学学会学術誌「運動とスポーツの科学」に投稿した。(採択済 2022年度発刊予定)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究課題の3年目にあたる2021年度は、各育成年代のGKがゲーム中に行う指示(コーチング)の実態と構造の分析および、GKのコーチング能力形成のための指導方針と指導モデルを理論的、実践的に創出する予定であった。具体的にはGK育成の「基本要素徹底期」にあたる中学年代から、「自立期」あたる高校年代のGKが展開する指示について,映像とICレコーダー(補足的に質問紙調査と面接調査)を用いて実態とその構造を分析と、得られたデータを指導者に対する面接調査結果と比較する予定であった。しかしながら、新型コロナ感染症の拡大が影響し、中学年代、高校年代を対象とした集合調査や指導者への面接調査を行うことができなかった。また、採取したデータを考察・解釈するために必要な資料を得るために、ドイツやオランダといったGK育成先進国に資料収集に赴く予定であったが、これも新型コロナ感染症の影響で実現できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に達成できなかった、中学年代以上の年代を対象に、GKが展開する指示について映像とICレコーダー(補足的に質問紙調査と面接調査)を用いて実態とその構造を分析したい。ただし、今後の新型コロナ感染症の影響次第では、中学年代の大規模な集合調査は実施できない可能性がある。したがって、本研究者が勤務す高等専門学校(以下、高専)のサッカー選手を対象に、優先的に調査を実施する予定である。高専は15歳から20歳までの年代が在籍しており、本研究課題の対象としているGK育成の「自立期」(高校年代)から「完成期」(大学年代)の調査が可能である。また、研究初年度に計画していた、育成年代GK指導者を対象とした半構造化面接調査を実施する。対象は本研究者の協力者であるサンフレッチェ広島育成年代GKコーチ5名とする。GKがゲーム中にどのようなコーチングをすべきかについて、指導者がどのように認識しているのかを明らかにすること で、GKのコーチング能力形成過程の解明と、コーチング能力形成のための指導方針及 び指導モデルを創出する一助とし、得られた結果をもとに、GKのコーチング能力形成のための指導方針と指導モデルを理論的、実践的に創出したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
特に国内外への資料収集や調査等のフィールワークに計上していた旅費を、新型コロナ感染症の影響で使用できなかったことが主たる理由である。謝金も海外調査の折の通訳費用等を見込んでいた。国内で予定されていた多くの学会についても、オンライン学会となり旅費を使用することがなかった。 2022年度については新型コロナ感染症の影響が緩和することを見込み、秋~冬にかけて再度フィールドワークを試みる予定である。物品費については、2021年度に実施できなかったサッカー選手の集合調査を実施するための消耗品費と、データ分析のスピードを加速させるために統計処理用のソフトウェアとPCを追加購入予定である。
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