研究課題/領域番号 |
19K19977
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青山 千紗 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80823939)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 連続視覚運動課題 / 眼球運動 / 視覚 / トレーニング / 視覚情報処理 / 運動制御 |
研究実績の概要 |
卓球やテニスのような高速のボールを連続して打ち合う球技スポーツでは、限られた時間内で取得されるボールや相手の位置・動きに関する視覚情報の精度がその後の脳情報処理および身体動作の精度を決定すると考えられている。しかし、卓球のような連続視覚運動場面では眼・頭部・そして身体が著しく複雑かつ多様に動くため、運動時の眼球運動(視線行動)と運動パフォーマンスを同時に定量的に評価することが困難であり、そのため、運動パフォーマンスに対する眼球運動の機能的役割も不明であった。本研究では連続視覚運動中の運動パフォーマンスに対する眼球運動(視線行動)の時空間特性や機能的役割を明らかにするため、連続視覚運動課題中の眼球運動を計測し、課題パフォーマンスの成否や身体運動の精度との関連を調査した。その結果、ターゲット視覚刺激に対する視線移動(サッケード)は身体運動よりも時間的に早く、その視線移動の精度が高い、つまり、ターゲットを中心窩に近いエリアで捉えた場合はその後に続く身体運動の精度も高くなるという関係性が明らかとなった。そこで次に、この身体運動に寄与している眼球運動を訓練することにより運動パフォーマンスが向上するかを調査するため、眼球運動トレーニングを構築し、その効果を検証した。その結果、眼球運動トレーニング前後で連続視覚運動課題パフォーマンスが向上し、眼球運動を改善することにより身体運動も改善される可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の計画は、①連続視覚運動課題中の眼球運動の機能的役割の解明を行い、その結果をもとに、②身体運動に寄与する眼球運動トレーニング法の構築・検証であった。予定通りに上記の内容について検討を行い、結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
眼球運動トレーニングにより運動パフォーマンスが向上したが、次年度以降はこの眼球運動トレーニングにより、どのような機能的変化が起きていたのかについて視覚を中心とした脳機能に注目して検証を行っていく。また、実場面に近い3次元上での検証や、実際の卓球などのスポーツ場面における検証も順次行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に研究内容について論文投稿を予定していたが、年度内に投稿ができなかったこと、実験機材の購入を予定していたが、実験の構築を次年度に行うこととしたため未使用額が生じた。
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