フライングディスクを利き手側から投げ出すフォアハンドスローは、ディスクスポーツでよく使用される重要な基本技術のひとつである一方 、初心者ばかりでなく競技経験の長い選手でも不得意とする者が多く、改善に非常に長い時間が費やされている。特に初心者の場合、ディスク は空中でその姿勢が安定せずにバタバタと揺れながら飛行し、距離が伸びずに落下する。しかし、改善のための科学的研究は見当たらない。そこで本研究の目的は、ディスクのフォアハンドスローの熟練者と未熟練者の10mスローに着目し、両群におけるディスク姿勢の角速度を生成する体幹 部および投てき腕の各関節運動の特徴を明らかにすることである。 リリース時のディスクのPitch軸まわりの角速度において、未熟練者群のディスクは高いNose down方向の値を示したのに対し、熟練者群では低いNose up方向の値を示し、また両群間で有意な差が確認された。また未熟練者群のディスクの迎え角は熟練者群に比べて有意に大きな値を示した。したがって、未熟練者群のディスクの姿勢は大きく変化しており、大きな迎え角を作り出していたと考えられる。 ディスクのNose up/down角速度を構成する各関節の運動学的変数を両群間で比較した結果より、リリース直前に手掌を更に回内方向へ回旋させると共に、手に対するディスクの運動を遠位端下降および後方傾斜にすることが、リリース時における未熟練者群の高いNose down角速度を減少させるために重要であると推測された。 2021年8月に海外のジャーナルに投稿したが不採用となったため、現在はデータを再解析し論文を修正している。
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